消費者契約法、特定商取引法
(2017年6月29日現在)

第一款 消費者契約法

1.消費者契約法制定の背景

 我が国では、国際的に開かれ、公正で自由な競争が行われる経済社会の実現を目指して、規制緩和を推進中である。規制緩和を進めるなか、新商品・サービスが登場して、消費者と事業者とのトラブルが発生することが増加している。
こうした事情から、消費者のための新たなるインフラを作る必要性が生じ、なかでも消費者契約法に係る民事ルールの整備が課題となっていた。
そこで、消費者契約法が平成12年4月28日成立。施工平成13年4月1日。

2.消費者契約法の構成

 消費者と事業者間の情報の質及び量並びに交渉力の格差があることから、事業者の一定行為によって、消費者が誤認し、又は困惑した場合に契約の取消を認めるとともに、消費者の利益を不当に害する契約条項の全部又は一部を無効とすることによって消費者の利益を擁護する法律。

3.本法が適用される契約

⑴「消費者」とは個人をいう。但し、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合は除外される。

(例)個人事業者が趣味としてパソコンを購入する場合には消費者となる。

⑵「事業者」とは

①法人・その他の団体
(例)株式会社 国・県・市町村 協同組合 事業者は同種の取引を反復継続して行うことで、取引経験を積み、取引に関する情報や交渉の面で消費者と比べ、圧倒的に優位な立場にある。
営利を目的としない事業も含まれる。

②個人でも事業者として契約する場合には「事業者」に含まれる。

⑶消費者契約とは消費者と事業者との間で締結される契約をいう。

⑷労働契約については「消費者契約法」を適用しない。
労働基準法その他労働法によって保護されているため。

4.事業者の努力義務(法§3.Ⅰ)

⑴消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務、契約の内容が明確且つ平易なものになるよう配慮すること。
全国銀行協会連合会1999年3月「消費者との契約のあり方に関する留意事項」

①契約書は明確、平易で消費者が理解しやすい表現を用いて作成すべきである。

②解釈の疑義を生じかねない表現は、消費者との間に、無用の混乱や紛争を招きかねず、回避すべきである。

③契約書の実質的な理解のしやすさを考慮し、一定の活字の大きさの確保を図ると共に、明瞭に印刷されているか注意すべきである。

⑵契約の勧誘については、消費者契約の内容についての必要な情報を提供するように努めること。

⑶法律は具体的内容については触れていない。

⑷事業者がこれに違反しても法的効果が発生することはない。
この点では金融商品販売法とは異なる。

5.消費者の努力義務(法§3.Ⅱ)

契約は「自己責任の原則」で成り立つ。

⑴消費者は消費者契約を締結するに際して、事業者から提供された情報を活用し、消費者契約の内容について理解するよう努めるものとする。

⑵努力しなくても、契約の取消は制限されたり、過失相殺の対象とはならない。

6.消費者契約の取消が認められる場合

その1 不実告知(法§4、Ⅰ、No.1)

⑴ 要件

①事業者が消費者契約締結の勧誘の際に、重要事項について事実と異なることを告げること (ⅰ)事実と異なる
(例)㋐請負契約において、基礎材が杉であると説明されて契約を締結し、仕様書にもそのように書かれていたが、実際は米栂(べいつが)であった。
(ⅱ)不実告知の方法

②消費者が事業者から告げられた内容を事実であると誤認する。

③消費者が契約の申込み又は承認の意思表示をする。

④「重要事項」とは ㋐物品、権利、役務その他の契約の目的となるものの質、用途、その他の内容 ㋑又は、物品、権利、役務その他の契約の目的となるものの対価その他の取引条件。 ㋒㋐㋑の事項であって消費者が契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの。 一般平均的な消費者が契約締結するか否かについて、判断を左右すると客観的に考えられるような基本的事項。 (例)
(ⅰ)テレビが外国で受信できなかった場合。該当しない
 (ⅱ)「A社のOS版のソフトです」と説明されたが、B社のOS版のソフトのため、自宅のパソコンで使えなかった。

⑵ 効果

意思表示を取消すことができる

最初から契約は無効となる

7.消費者契約の取消が認められる場合

その2 断定的判断の提供(法§4、Ⅰ、No.2)

⑴ 要件 ①契約の目的に関して、将来における価額、将来において受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 (例)㋐証券会社の担当者から「この株は○○円まで上がりますよ」と言われて株の購入をしたが、上がらなかった。取消可能。 ②断定的判断の内容が確実であると誤認した。 ③誤認によって契約の申込又は承諾の意思表示をした。

⑵効果 取消することが可能

⑶民法の詐欺との関係詐欺による取消は困難

8.消費者契約の取消が認められる場合

その3 不利益事実の不告知(法§4、Ⅱ)

⑴ 要件 ①契約の勧誘の際に、ある重要事項又は重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げたこと。 「重要事項」とは前述の通り (例)銀行員が外貨預金を勧誘する際、高利回りである旨を強調して為替が円高になったときには円貨ベースで元本割れするおそれがあることを説明しないこと。 ②当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実を故意に告げなかったこと。
当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。
事業者の先行行為により当該重要事項について、当該消費者の不利益となる事実は存在しないであろうと消費者が通常認識するものをいう。
(例)上記外貨預金の例において「預金である以上、元本割れすることはない」と通常考えますが、実際は為替が円高になったときには、円貨ベースで元本割れするおそれがあること。
③消費者が不利益となる事実が存在しないことを認識したこと。 ④誤認によって契約の申込み又は承諾の意思表示をしたこと。
外貨預金の申込みをする又は契約する。

⑵ 効果 取消できる (例) 外貨預金によれば取消することによって預金をした金額の返還を請求できる。 (例外) 事業者が当該事実(不利益事実)を告げようとしたにもかかわらず、消費者が拒んだ場合。

9.消費者契約の取消が認められる場合

その4 不退去(法§4、Ⅲ、No.1)

⑴要件 ①事業者が契約を勧誘の際に、その消費者がその事業者に対し住居又は業務を行っている場所から退去すべき旨の意思表示を示したこと。 (例)証券会社の営業員がいきなり顧客の自宅を訪問し、投資信託の購入を長時間にわたって執拗に勧誘し、顧客が「もう帰ってくれ」と何度も要求したにもかかわらず、営業員が帰らないのでやむなく投資信託購入の意思表示をした。 ②その事業者が退去しないこと。 ③消費者が、事業者退去しないため迷惑したこと。
困り戸惑い、どうしてよいかわからなくなるような自由に判断が出来ない状態をいう。
④困惑によって契約の申込み又は承諾をすること。
但し、営業員に根負けして購入するのは取消できない。
あくまでも「困惑」により契約することが必要。

⑵効果取消できる

⑶民法上の強迫との関係 強迫行為による契約締結は、取消可能である。 しかし、通常の勧誘は強迫行為には該当しないことが多いため、取消は不可能。 「困惑」は強迫に至らない前の段階であるが、消費者契約法は取消を認めている。

10.消費者契約の取消が認められる場合

その5 監禁(法§4、Ⅲ、No.2)

⑴ 要件 ①事業者が契約の勧誘をする際に、その事業者が契約の勧誘をしている場所からその消費者が退去する旨の意思表示をする。 (例)満期になった定期預金の引き出しのために銀行等を訪れた顧客が支店長室に通され、定期預金で投資信託を購入するよう執拗に勧誘され、帰ろうとしたものの、外に出づらい状況においてやむなく投資信託を購入した。 ②その事業者が、その消費者を退去させない。 ③その消費者が、退去できないことによって困惑している。 ④困惑によって契約の申込み又は承諾の意思表示をする。

⑵効果取消できる

⑶民法の強迫との関係強迫の手前の「困惑」によって取消を認めた。

11.取消の効果は善意の第三者に対抗できない(法4.Ⅴ)

12.契約媒体の委託を受けた第三者及び代理人(法5)

⑴6~10の取消できる契約については、事業者が第三者に媒体を委託した場合にも消費者は取消できる。

⑵媒体とは他人間の法律行為(契約の成立)に尽力する事実行為

(例)

㋐生命保険会社が、代理店や営業職員に対して、消費者との「保険募集行為」の委託をする場合。代理店に不実告知があれば消費者は取消うる。

㋑携帯電話事業者が携帯電話販売事業者に対して、消費者との携帯電話サービス契約について業務委託をする場合。

⑶事業者及び事業者の委託を受けた者(受託者)の代理人はそれぞれ事業者及び受託者となる。(法5、Ⅱ)
事業者の代理人に不実告知等があれば消費者は取消ができる。

⑷消費者の代理人も消費者とみなされる。

13.取消権の行使期間(法§7、Ⅰ)

⑴取消は、追認できるときから6ヶ月行わないと消滅する。

契約のときから5年間でも消滅する。å

⑵民法より期間が短い

民§126条は、追認しうるときから5年/行為のときから20年

法律関係安定化のため

14.株式又は新株の引受の場合の取扱い(法§7、Ⅱ)

 株式引受、新株発行引受については、商法を準用している。
そのため取消はできない。
株式引受は、一般公衆に対する意思表示としての性質を有するため、公衆の利益保護のため、取消を認めない。

15.消費者契約の条項の無効

16.消費者契約条項の無効

その1 事業者の債務不履行による責任の全部免除(法§8、Ⅰ、No.1)

⑴要件 事業者の債務不履行(契約不履行)により、消費者に生じた損害を賠償する責任を全部免除する条項があること。 (例)運送契約において運送業者が運送物の紛失又は毀損について、一切の損害賠償責任を負わないとする契約条項がある。

⑵効果 このような契約条項は無効となる。 従って、民法415条等の規定によって損害賠償請求ができる。

17.消費者契約条項の無効

その2 一部を免除する条項でも無効な場合(法§8、Ⅰ、No.2)

⑴要件  事業者の債務不履行によって発生した損害の賠償責任を一部免除する条項であるが、当該債務不履行が事業者又はその代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失に基づく場合。 故意   損害が発生することを知りながら敢えて損害を発生させる行為 重過失  少しの注意をすれば損害の発生を防止できたのに、損害を発生させた。 (例)「事業者の損害賠償責任は○○円を限度とする」という条項があっても、債務不履行が事業者の故意又は重大な過失によるものは、その限りで無効となる。

⑵効果 契約条項は無効なので、民法415条等によって損害賠償請求することができる。

18.消費者契約条項の無効

その3 事業者の不法行為による損害賠償責任全部を免除する条項は無効(法§8、Ⅰ、No.3)

⑴要件 事業者の債務の不履行に際してされたその事業者の不法行為により、消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部を免除する条項があること。

⑵効果 条項は無効となるため、不法行為に基づいて損害賠償請求ができる。 契約不履行による損害賠償請求権 不法行為による損害賠償請求権 いずれによっても損害賠償請求可能(請求権競合説) そのため、法8条1項1号と3号の規定がある。

19.消費者契約条項の無効

 その4 不法行為による損害賠償責任の一部免除でも、その不法行為が事業者、その代表者、又はその使用する者の故意又は重過失による場合には当該条項は無効。

⑴要件  事業者の債務の履行に際してされたその事業者の不法行為により、消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項がある。  その不法行為が、その事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によって発生した場合。

⑵効果 契約条項は無効となるため、不法行為に基づいて損害賠償請求ができる。

20.消費者契約条項の無効

その5 隠れた瑕疵による責任を全部免除する条項(法§8、Ⅰ、No.5)

⑴要件 以下の契約条項がある。 ①消費者契約が
  有償契約である。
  対価関係がある。
②契約の目的物に隠れた瑕疵がある。
取引上の要求される一般的な注意では発見できない欠陥がある。
③当該瑕疵により消費者に生じた損害賠償責任を免除する。
(例)自動車の売買契約において、隠れた瑕疵による損害賠償責任を全部免除する条項があった。消費者がブレーキが利かない欠陥を発見できず、自動車を購入し、事故を起して大怪我をした。

⑵効果 契約条項は無効であるため、損害賠償請求ができる。 但し、損害賠償責任の一部を免除する条項は有効となる。

⑶例外 ①目的物に隠れた瑕疵があるときに、その事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を補修する責任を負うとされている場合    損害賠償責任免除条項有効 ②消費者契約の締結と同時に、又はこれに先立って、他の事業者との間で締結された契約、又は事業者と他の事業者との間で締結された消費者を第三者とする、第三者のためにする契約において、その他の事業者が損害賠償責任の全部又は一部の責任、瑕疵のない物と取り替える責任又は瑕疵を補修する責任を負う旨を定めている場合。

第二款 適格消費者団体による差止請求

1.消費者団体訴訟制度

消費者保護のために、事業者による不当な行為に対する抑止力として、消費者による差止請求のための団体訴訟制度である。

2.差止請求権は「適格消費者団体」に認められる(§12)

「適格消費者団体」とは、不特定かつ多数の消費者の利益のために、この法律の規定による差止請求権を行使するのに必要な適格性を有する法人である消費者団体として、消費者契約法第13条により内閣総理大臣の認定を受けた者をいう。

3.趣旨

 少額でありながら、高度な法的問題を孕む紛争が拡散的に多発するという消費者取引の特性にかんがみ、同種紛争の未然防止、拡大防止を図って、消費者の利益を擁護することを目的として、適格消費者団体が事業者による不当な行為を差し止めることができる旨を規定する。

4.差止請求の対象となる事業者の行為

消費者契約法上の不当な勧誘行為(法4条1項から3項までに規定する行為)及び、不当な契約条項(法8条から10条までに規定する条項)、即ち、

(1)不当な勧誘行為 ①消費者契約締結の際に、重要事項について事実と異なることを告げる(不実告知)。(法§4、Ⅰ、No.1) ②契約の目的に関して、将来における価額、将来において受け取るべき金額その他の将来における変更が不確実な事項につき、断定的判断を提供すること(断定的判断の提供)。 ③ある重要事項又は重要事項に関連する事項について、当該消費者の利益となる旨を告げ且つ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実を故意に告げない。(不利益事実の不告知) ④消費者がその事業者に対し、住居又は業務を行っている場所から退去すべき旨の意思表示を示したが、事業者が退去しないため、困惑によって契約の申込み又は承諾をした。
(法§4、Ⅳ、No.2)(不退去)
⑤事業者が契約を勧誘している場所から、その消費者が退去する旨の意思表示をしたにもかかわらず、消費者が退去できないため困惑をして、消費者が契約の申込み又は承諾の意思表示をする。
(法§4、Ⅲ、No.1)(監禁)

(2)不当な契約条項(法8条から10条までに規定する条項) ①事業者の債務不履行による責任の全部免除(法§8、Ⅰ、No.1) ②事業者の債務不履行によって発生した損害の賠償責任を一部免除する条項であるが、当該債務不履行が事業者又はその代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失に基づく場合。(法§8、Ⅰ、No.2) ③事業者の不法行為による損害賠償責任全部を免除する条項は無効。(法§8、Ⅰ、No.3) ④不法行為による損害賠償責任の一部免除でも、その不法行為が事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重過失による場合。(法§8、Ⅰ、No.4) ⑤隠れた瑕疵による責任を全部免除する条項(法§8、Ⅰ、No.5)(例外) (ⅰ)事業者が瑕疵のない物をもって、これに代える責任又は当該瑕疵を補修する責任を負うとされている場合。 (ⅱ)他の事業者が損害賠償責任の全部又は一部の責任、瑕疵のない物と取り替える責任又は瑕疵を補修する責任を負う旨定めている場合。

5.差止請求の相手方と請求内容

(1)同種紛争の未然防止、拡大防止を図るという本制度の趣旨からすると当該不当行為の「停止」又は「予防」が基本となるが、実効性を確保する観点から「停止又は予防に必要な措置」を規定している。

(2)事業者以外に受託者等又は事業者もしくは受託者等の代理人による不当な勧誘行為についても、取消事由となる。(法§5)
これらの者に対しても、当該不当行為の停止又は予防に必要な措置をとることを請求することができる。(法§12、Ⅱ、Ⅳ)

6.消費者契約法に関する裁判例

(1)最判H18.11.27(民集60巻9号、P3437)

 不当利得返還請求事件
大学の入学試験の合格者と該当大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は、国立大学及び公立大学の後期日程入学試験の合格者の発表が例年3月24日ころまでに行われ、そのころまでには私立大学の正規合格者の発表もほぼ終了し、補欠合格者の発表もほとんどが3月下旬までに行われているという実情の下においては、同契約の解除の意思表示が大学の入学年度が始まる4月1日の前日である3月31日までにされた場合には、原則として、当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして、同号によりすべて無効となり、同契約の解除の意思表示が同日よりも後にされた場合には、原則として、上記授業料等が初年度に納付すべき範囲のものにとどまる限り、上記平均的な損害を超える部分は存しないものとして、すべて有効となる。

(2)最判H18.11.27(民集60巻9号、P3597)

 学納金返還請求事件
入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」、「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」等の記載がある大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は、入学式の日までに明示又は黙示に同契約が解除された場合には、原則として、当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして、同号によりすべて無効となる。

(3)最判H23.7.15(民集65巻5号、P2269)

 更新料返還等請求事件
賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし、高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条にいう「民法第1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない。
本件では、更新料の額を賃料の2ヵ月として、本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とする。

(4)最判H24.3.16(民集66巻5号、P2216)

 生命保険等契約存在確認請求事件
生命保険契約に適用される約款中の保険料の払込みがなされない場合に履行の催告なしに保険契約が失効する旨を定める条項は、①これが、保険料が払込期間内に払い込まれず、かつ、その後1か月の猶予期間の間にも保険料支払債務の不履行が解消されない場合に、初めて保険契約が失効する旨を明確に定めるものであり、②上記約款に、払い込むべき保険料等の額が解約返戻金の額を超えないときは、自動的に保険会社が保険契約者に保険料相当額を貸し付けて保険契約を有効に存続させる旨の条項が置かれており、③保険会社が、保険契約の締結当時、上記債務の不履行があった場合に契約失効前に保険契約者に対して保険料払込みの督促を行う実務上の運用を確実にしているときは、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に当らない。

第三款 消費者契約法の改正

H28.5.25 消費者法の一部を改正する法律成立
H28.6.3  公布
H29.6.3  施行(一部規定を除く)

主な改正の内容
1.過量な内容の消費者契約に係る意思表示の取消(法§4、Ⅳ)

(1)要件1

過量な内容の消費者契約であること

(2)要件2

過量性を認識しながら勧誘すること

(3)要件3

事業者の勧誘により消費者が意思表示をすること

2.不実告知における「重要事実」(法§4、Ⅴ)

「重要事実」に新たに「物品、権利、役務、その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産、その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事項」(法§4、Ⅴ、No.3)を加える。

3.取消権を行使した消費者の返還義務の範囲(法§6の2)

給付受領時に善意であった場合には、現存利益に限定する(民法改正と同日施工)

4.取消権の行使期間(法§7、Ⅰ)

短期の行使期間を6ヶ月から1年に伸長する。

5.事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効(法§8、Ⅰ、No.3、No.4)

 法人の理事等による不法行為に基づく損害賠償責任の規定は、民法から削除されて他の法律に規定されるため。
「民法の規定による」という文言を削除する。

6.消費者の解除権を放棄させる条項の無効(法§8の2)

7.10条第一要件に該当する条項の例示

「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項」を追加した。

8.消費者団体訴訟制度(差止請求)の対象

 今般の改正により、新たな意思表示の取消事由とされる行為や、新たな無効とされた取消条項を含む契約の締結については、適格消費者団体による差止請求の対象とされている。(法§12)

第四款 特定商取引総説

一、無店舗販売取引

(1)意義

無店舗販売 ①訪問販売 ②電話勧誘販売 ③通信販売 上記取引について、「訪問販売等に関する法律」制定 平成12年「特定商取引に関する法律」に名称変更

(2)適用範囲

平成20年改正前は、「指定商品」「指定権利」の販売または「指定役務」の提供となっていたが、同法改正により規制の隙間を塞ぐ趣旨で、「指定商品」「指定役務」制は廃止されたが、「指定権利」の限定は存在する。
※「指定権利」 施行令第3条 一、保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利 二、映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利 三、語学の教授を受ける権利

適用除外 ①営業のため、または営業としての申込、締結 ②事業者がその従業員に対して行う販売役務提供 ③金融商品取引法等他の法令により消費者保護が図られているもの

二、特定継続的役務提供(法§41)

 エステティックサロン、外国語会話教室等継続的役務提供に係るもの。
平成11年に規制が当時の訪問販売等に関する法律に組み入れられた。

「特定継続的役務」は
①その者の心身、身上に関する目的を実現させることをもって、誘引が行われるもの。
②役務の性質上①の目的が実現するか否かが確実でないものと政令で定めるもの。 (ⅰ)エステティックサロン (ⅱ)語学教授 (ⅲ)家庭教師派遣
  学習塾
  電子計算機等の操作教授
(ⅳ)結婚相手の紹介に関する役務

三、個人ビジネス勧誘型取引

(1)連鎖販売取引(法§33)

マルチ商法
これに類似するものとして、ネズミ講がある。
これは無限連鎖講の防止に関する法律により、明示的に禁止されている。

(2)業務提供誘引販売取引(法§51)

定義
業務提供誘引販売取引とはその取引を勧誘する事業者が提供・あっせんする業務に従事することにより、利益を収受することをもって相手方を誘引してなす、特定負担を伴う物品の販売もしくは斡旋、または役務の提供もしくはあっせんである。

四、訪問購入(法§58の4)

 訪問販売の逆で、物品の購入業者が家庭等において売買契約の申込みを受け、または売買契約を締結して物品(政令で定めるものを除く)の購入を行う消費者取引。

第五款 訪問販売の規制

一、定義

 販売業者が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下営業所等という)以外の場所において、売買契約の申込みを受けもしくは売買契約を締結して行う、商品もしくは指定権利の販売、または役務提供事業者が、営業所等以外の場所において、役務提供契約の申込みを受け、もしくは役務提供契約を締結して行う役務の提供を「訪問販売」という。
路上で「アンケート」等と称して呼び止めて、営業所等に同行した見込客(いわゆるキャッチセールスの見込客)をその他政令で定める方法(いわゆるアポイントメントセールス等)により誘引した者(特定顧客)から契約の申込を受け、又は特定顧客と契約を締結して行う商品、指定権利、役務の取引も訪問販売に含まれる。

二、氏名等の明示、再勧誘の禁止等

(1)氏名等の明示 §3

氏名、勧誘する目的、勧誘に係る商品権利、役務の種類を明示するセールスマンが身分を偽って勧誘すれば、罰則の対象となる。(§4、§72、No.1)

(2)再勧誘の禁止等

 §3のⅡ.Ⅰ
勧誘を受ける意思があることを確認するように努めなければならない。
§3のⅡ.Ⅱ
契約を締結しない旨の意思表示をした者に対し、勧誘してはならない。

三、開示の規制

(1)契約申込時の書面の交付

 販売事業者又は役務提供事業者は、営業所等以外の場所において契約の申込を受けたとき又は営業所等において特定顧客から契約の申込を受けたときは、直ちに主務省令(規則§5)の定めるところにより ①商品、権利、役務の種類 ②商品、権利の販売価格、又は役務の対価 ③代金、対価の支払時期 ④商品の引渡時期、権利の移転時期、役務の提供時期 ⑤クーリングオフに関する事項 ⑥その他主務省令に定める事項(業者の名称、住所、代表者名、電話番号、セールスマン等担当者名等) につき、申込の内容を記載した書面を申込者に交付しなければならない。(法§4、規則§3,5、6)
本条違反については罰則がある外(法§72、No.1)、主務大臣は指示(法§7)又は業務の停止(法§8)を命ずることができる。

(2)契約書面の交付

・契約を締結した際には、主務省令の定めるところにより、契約内容を明らかにする書面を相手方に交付しなければならない。

・契約書面を交付すべき時期は ①顧客から契約の申込を受けた際に契約を締結した場合には、「直ちに」(法§5、1括弧書) ②契約締結時に業者が自己の債務を履行しかつ代金、対価を受領した場合(現金取引)には「直ちに」(法§5、Ⅱ) ③契約申込と契約締結時の間に時間のズレがあり、かつ契約締結時に少なくとも一方の債務の履行は完了しない場合には「遅滞なく」とされる。(法§5、Ⅰ)

・契約書面の記載事項は ①または③の場合については(1)の書面と同じであり(法§5、Ⅰ) ②の場合には、それより若干簡略化されたものである。(法§5、Ⅱ、規則§Ⅳ) 契約が割賦販売法の規制対象にもなるときは、同法の要件を満たす契約書面も交付しなければならない。

・本条の義務に違反した場合の制裁は(1)と同様である。

四、契約内容に関する規制

瑕疵担保責任(法§4、No.6、規則§5、Ⅰ)、契約の解除(法§4、No.6、規則§5、Ⅰ)、契約の解除等に伴う損害賠償の額の制限(法§10、法§26、Ⅴ)

五、クーリングオフ(法§9)

§9

・訪問販売においては、心理的に無防備な状態にある消費者が、セールスマンの売り込み攻勢を受けて不用意に契約の申込又は契約の締結をするおそれがあるので、クーリングオフになじまない一部の取引を除き、クーリングオフが認められている。(法§9)
但し、現金取引であって、当該契約に係る商品の代金等が3,000円に満たない場合には、クーリングオフは認められない。
(法§26、Ⅳ、No.3、施行令§7)

・クーリングオフの対象とならない取引 ①その全部の履行が契約の締結後、直ちに行われることが通例である役務の提供として、政令で定めるものであって、訪問販売に該当するものの全部又は一部が、直ちに履行される場合。
(法§26、Ⅱ、政令§6、規則§23の3)
②その販売条件等についての交渉が、販売業者等と購入者との間で相当の期間にわたり行われることが通常の取引対応である商品、役務として政令で定めるものの販売、提供。
(法§26、Ⅲ、No.1、政令§6の2)自動車、自動車の貸与
③契約の締結後、速やかに提供されない場合には、その提供を受ける者の利益を著しく害するおそれがある役務として政令で定める役務の提供。
(法§26、Ⅲ、No.2、政令§6の3)電気、ガス等

・なお、申込者又は購入者が、使用、一部消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるもの(政令6の4、健康食品、化粧品等)を契約書面等により、クーリングオフできなくなることを告げられながら使用、消費したときには、クーリングオフの権利は失われる。(法§26、Ⅳ、No.1)

・相当の期間品質を保持することが難しく、品質の低下により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを、契約書面等によりクーリングオフできないことを告げられて引渡されたときも同じである。(法§26、Ⅳ、No.2)

・クーリングオフができる期間(法§9、Ⅰ)
原則として契約書面等受領から8日

・クーリングオフの意思表示は、書面によるべきこと(法§9、Ⅰ)

・クーリングオフの効力の発生時期(法§9、Ⅱ)
発信時

・販売業者等が購入者等に対し、当該クーリングオフに伴う損害賠償・違約金の支払いを請求することができない。(法§9、Ⅲ)

・既に引渡し等がなされた商品の引取り等に要する費用は、販売業者の負担である。(法§9、Ⅳ)

・既に商品の使用、役務の提供等がされていても、販売業者は購入者等に対し、その対価等を請求できない。(法§9、Ⅴ)

・役務提供事業者が既に受領した金銭があれば、速やかに返還すべき。(法§9、Ⅵ)

・土地等に現状変更があれば、無償で原状回復すべき。(法§9、Ⅶ)

六、過量販売契約等の解除等

 訪問販売において、購入者等の日常生活において、通常必要とされる分量を著しく超える商品、指定権利の売買契約又は、通常必要とされる回数、期間、分量を著しく超えて役務の提供を受ける役務提供契約の申込みまたは契約締結がなされたときは、購入者等はその申込みの撤回または契約の解除を行うことができる。(§9のⅡ、Ⅰ.No.1)
複数の販売業者等により、過量販売契約等の締結等がされたときは、過量となることを販売業者等が知りながらそれを行った場合に、購入者等は申込の撤回、契約解除ができる。(法§9の2、Ⅰ、No.2)

 上の申込の撤回、契約解除の権利は、当該契約の締結から1年以内に行使しなければならない。(法§9の2、Ⅱ)

 解除等がされた場合の法的効果は、クーリングオフの場合と同じである。

 平成20年改正により導入された。

七、禁止行為

(1)業務の停止等

①販売業者または役務提供事業者が、訪問販売に係る契約の締結につき勧誘するに際し、またはクーリングオフを妨げるために、当該契約に関する事項であって、顧客または購入者もしくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げた場合もしくは故意に事実を告げない場合、または契約を締結させもしくはクーリングオフを妨げるため人を威迫して困惑させた場合には、刑事罰が科され、または主務大臣の指示もしくは業務停止命令の対象となる。(§6、Ⅰ~Ⅲ、§7、8.70、規則§6の2、§6の3、§7)

②販売業者等は訪問販売に係る売買契約等の締結について勧誘するためであることを告げずに誘引した特定顧客に対し、公衆の出入りする場所以外の場所で契約の締結を勧誘した場合も同じである。(法§6、Ⅳ、§7、§8、§70の3、政令§3の2)

③販売業者または役務提供業者が不特定かつ多数の者に対し、前記行為を行う場合には、適格消費者団体は、当該行為の停止、予防に必要な措置をとることを請求することができる。(§58の4)

(2)禁止違反行為による申込、承諾の意思表示の取消し

①販売業者または役務提供事業者が、(1)に違反して不実のことを告げまたは故意に事実を告げなかったことにより、消費者が誤認をし、それによって当該売買契約、役務提供契約の申込または承諾の意思表示をしたときは、申込者等はその意思表示を取消すことができる。(§9の3、Ⅰ)

②この取消権は、消費者契約法上の(ⅰ)不実告知による取消し(消費者契約法§4、Ⅰ.No.1)または、(ⅱ)不利益事実の不告知による取消し(消費者契約法§4、Ⅱ)と要件、効果が似ているが、(ⅱ)の場合と異なり、事業者が「消費者の利益となる旨を告げる」ことが、要件となっていない。

第六款 電話勧誘販売の規制

一、定義

①電話勧誘販売とは、販売業者、役務提供事業者が電話をかけ、または売買契約等の勧誘をするためであることを告げずに電話をかけるよう郵便等により要請する等の政令で定める方法により、相手方から電話をかけさせて勧誘(電話勧誘行為という)を行い、相手方(電話勧誘顧客という)がその電話の中で契約の申込をし、契約を締結し、または一旦電話を切った後に郵便等により契約の申込をする等の形で、商品、指定権利の販売契約、たまは役務の提供契約が締結されるものである。(§2、Ⅲ)

②電話勧誘販売は、心の準備のない消費者に対し、不意かつ執拗に契約の勧誘を行う、消費者は相手の素性も確認できないまま会話を余儀なくされる、契約内容が不明確になる等の点で、訪問販売と同様の弊害を伴いがちである。

③電話勧誘販売に関する規制は、電話勧誘顧客の方から、販売業者等に対し電話をかけるよう請求した等一定の場合には二(1)①②および(2)以外の規制はない。

二、規制の内容

(1)訪問販売に類似する規制

電話勧誘販売を行う販売業者、役務提供事業者には ①氏名、勧誘目的であること等の明示義務(法§16) ②契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する再勧誘の禁止(法§17) ③契約の申込を受けたとき又は契約を締結したときには、遅滞なく取引条件等を記載した書面を交付する義務(法§18、19、規則§17-§20) ④瑕疵担保責任、契約解除に伴う損害賠償額の制限など一定の契約内容(法§18、No.6、§19、Ⅰ、Ⅱ、§25、規則§17、No.7、No.8、§18、No.7、No.8、§19、Ⅰ) ⑤クーリングオフ(法§24、§18、No.5、§19、Ⅰ、Ⅱ、規則§20、§23の2) ⑥禁止行為(法§21、規則§22の2) ⑦販売事業者等の資料提出義務(法§21の2)
違反に対する主務大臣の指示、業務停止(法§22、23、規則§23)
禁止違反行為による申込、承諾の意思表示の取消(法§24の2)
⑧適格消費者団体の差止請求権(法§58の20) ⑨訪問販売における、過量販売契約等の解約等に対応する規制はない。

(2)電話勧誘販売における諾否等の通知義務

「前払式電話勧誘販売」については、販売事業者等は代金等を受領したときは、遅延なく主務省令の定めにより顧客に対し申込に対する諾否の通知をしなければならない。(§20、72、Ⅰ、No.6、規則§21、22)

第七款 通信販売の規制

一、定義

(1)販売業者が郵便その他の主務省令で定める方法により、売買契約の申込を受けて行う商品もしくは指定権利の販売、または役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法により役務提供契約の申込を受けて行う役務の提供を「通信販売」という。(§2、Ⅱ)

(2)「その他の主務省令で定める方法」には、信書便、電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器または情報処理の用に供する機器(パソコン等)を利用する方法、電報及び預金または貯金の口座に対する払込が含まれる。(規則§2、No.1、2、3、4)

二、広告の規制

(1)一括表示の原則

①販売業者または役務提供事業者は、通信販売をする場合の契約条件について広告するときは、主務省令で定めるところにより、「一括表示の原則」に従い、当該広告に①商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価、②代金、対価の支払時期及び方法、③商品の引渡時期、権利移転時期、役務の提供時期④商品、権利の売買契約の申込の撤回又は解除に関する事項、⑤その他主務省令で定める事項を表示しなければならない。(法§11)

②当該広告に、顧客の請求があれば、上の事項を記載した書面、電磁的記録を遅滞なく交付、提供する旨の表示をする場合は、事業者は主務省令の定めるところにより、上の事項の一部を表示しないことができる。(法§11但書)

③上述の広告規制に違反した場合に罰則はないが、主務大臣は違反する事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示し(§14)又は業務の停止を命ずることができる。(§15)

(2)誇大広告等の禁止

①販売業者または役務提供事業者が、通信販売の契約条件につき広告するに際し、商品の性質または権利、役務の内容、売買契約の申込の撤回または契約解除に関する事項、その他主務省令で定める事項につき、著しく事実に相違する表示をし、または実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人に誤認させるような表示をしたときは、罰則の制裁(§72、Ⅰ.No.3)があるが、主務大臣の指示または業務停止命令の対象となる。(法§12、§12の2、§14、§15、§72、Ⅰ、No.3)

②通信販売の誇大広告は、不当景品類及び不当表示防止法に基づく排除命令の対象にもなる。(景表法§4、§6)

(3)未承諾の電子メール広告の送信の禁止

・販売業者または労務提供事業者は、 ①相手方となる者の請求があったとき ②当該販売業者等に契約の申込等をした者に対し、契約内容等を通知する際に、主務省令で定めるところにより行うとき。(規則§11の3) ③その他通常広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として、主務省令で定める場合に行うときを除き、通信販売による商品、権利の販売条件または役務の提供条件につき、相手方の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならない。(法§12の3、Ⅰ、Ⅲ)

・いわゆる「迷惑メール」に対する規制として平成20年改正前は、いわゆる「オプトアウト規制」であったが、同改正により規制が強化され、承諾があった者に対してのみ広告送信が可能な「オプトイン規制」に変更された。

・販売業者または役務提供事業者は、通信販売電子メール広告をするときは②③の場合を除き、当該広告に(1)に記載した事項のほか、主務省令の定めに従い、その相手方が通信販売電子メールの提供を受けない旨の意思を表示するために必要な事項として、主務省令で定めるものを表示しなければならない。(法§12の3、Ⅳ、規則§11の6)

・通信販売電子メール広告の業務の委託を受けた者に対しても、同様の規制がある。(§12の4)

・右の規制の違反については、罰則があるほか(§72、Ⅰ.No.4、No.5、Ⅱ)主務大臣は違反者に対し、必要な措置をとるべきことの指示(§14)または業務の停止(§15)を命ずることができる。

三、返品

(1)通信販売による商品、指定権利の購入者は、その売買契約に係る商品の引渡または指定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込の撤回または解除を行うことができる。
ただし、販売業者が右の申込の撤回等についての特約を広告に表示していた場合にはこの限りではない。(§15の2、Ⅰ、規則§16の2)

(2)右の規制は、「返品」に関するものである。
通信販売には、訪問販売、電話勧誘販売におけるような、販売業者の積極的働きかけによる購入者の意思形成はないという違いから、クーリングオフと異なり販売業者が特約(返品不可等とする)を設けて広告することも認めている。

(3)返品に要する費用はクーリングオフと異なり、購入者が負担する。(§15の2、Ⅱ)
また、申込の撤回または契約解除の意思表示につき、クーリングオフと異なり、発信主義はとられていない。

四、諾否等の通知義務

(1)前払式通信販売における通知義務

 前払式通信販売については、業者は代金、対価の全部または一部を受領したときは、申込者に対し遅滞なく債務を履行するか、さもなければ主務省令で定めるところにより、承諾または不承諾の旨、その他の主務省令で定める事項を遅滞なく書面により通知しなければならない。(§13)
もし業者が承諾、不承諾も明示せず契約を未成立なままにしておくと、行政的措置のほか、罰則の制裁もある。(§14、§15、§72、Ⅰ.No.6)
・主務省令の定め 通知には、 ①承諾又は不承諾の旨 ②業者の氏名、名称及び住所、電話番号 ③受領した金額の総額 ④受領年月日等 不承諾の場合には既に受領している金銭を直ちに返還する旨、及びその返還方法を記載する。

(2)契約内容に関する規制の不存在

通信販売については、瑕疵担保責任、契約の解除、契約の解除等に伴う損害賠償等の額につき販売業者等は、契約条項を開示する義務は課されているものの、訪問販売、電話勧誘販売の場合と異なり、契約内容自体を規制する定めは置かれていない。立法論として問題があると指摘されている。

五、電子契約である通信販売

(1)顧客の意に反して契約の申込をさせようとする行為の規制

 通信販売のうち、顧客がコンピュータの映像面に表示される手続に従って契約の申込をする電子契約(規則§16、Ⅰ、No.1)においては、顧客の誤解、入力ミス等によりその意に反した申込がなされてしまうケースがありうる。
そのため販売業者、役務提供事業者が ①当該コンピュータの操作が電子契約の申込となることを顧客が容易に認識できるように表示していない場合 ②申込の内容を顧客がコンピュータの操作を行う際に容易に確認し訂正できるようにしていない場合であって、通信販売に係る取引の公正および顧客の利益が害されるおそれがあるときは、主務大臣は、当該事業者に対し、必要な措置をとるよう指示することができる。(法§14、Ⅰ、No.2、規則§16、Ⅰ、No.1、No.2)

(2)意思表示に関する民法の特例

 電子消費者契約、すなわち消費者と事業者との間で電磁的方法により、コンピュータの映像面を介して締結される契約であって、事業者側が当該映像面に表示する手続に従って消費者がコンピュータを用いて送信することにより申込、承諾の意思表示を行うものについては、消費者の当該意思表示につき、民法の錯誤の規定の特則が設けられている。
すなわち、消費者が当該意思表示を送信した時に ①当該事業者との間でその申込、承諾を行う意思がなかったとき、または ②その申込、承諾と異なる内容の意思表示を行う意思があったときには、契約の要素の錯誤に陥るにつき消費者に重大な過失があった場合でも、消費者の申込、承諾の意思表示は無効となる。(電子契約特§3本文) この特則は、消費者のコンピュータの操作ミス等が「重大な過失」によるものだと事業者が主張することを認めないものである。 但し、特例の適用除外 (ⅰ)事業者が、当該申込承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込、承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合、または、 (ⅱ)その消費者から事業者に対し、当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合

六、ネガティブ・オプション

(1)通常「ネガティブ・オプション」と呼んでいるのは、販売業者の側から契約の申込を行う取引形態のうち、顧客の承諾を得ないでいきなり、商品を送付してくるものをいう。

(2)商品の送付を受けた消費者は、商品保管の負担を強制されるため、法律は特則を設けている。

(3)販売業者からネガティブ・オプションに係る商品の送付があった場合には、商品の送付があった日から起算して14日を経過する日までに顧客がその申込につき承諾をせず、かつ、販売業者がその商品の引取りをしないときは、販売業者は商品の返還を請求することができない。
顧客が販売業者に対し商品の引取りを請求し、請求の日から起算して7日を経過した場合も同様である。(法§59、Ⅰ)
すなわち、この期間経過後は、顧客は無償で商品を費消、処分できる。

(4)右の規定は、商品の送付を受けた者のために商行為となる売買契約の申込については、適用されない(法§59、Ⅱ)

第八款 特定継続的役務提供の規制

一、定義

(1)特定継続的役務提供とは

①特定継続的役務の提供であって、役務提供事業者が政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し、相手方がこれ応じて政令で定める金額を超える金銭(5万円)を支払うことを約する契約を締結して行うもの。(特定継続的役務提供契約)
または、

②特定継続的役務の提供(①の政令で定める期間を超える期間にわたり提供するものに限る)を受ける権利の販売であって、①の政令で定める金額を超える金銭を受け取って販売する契約(特定権利販売契約)を締結して行うもの(法§41、Ⅰ)

(2)上記要件を満たす取引でも、役務受領者、権利購入者にとって営業である取引には規則は一切適用されない。

二、開示の規制

(1)契約締結前の書面交付

役務提供事業者、販売業者は、特定継続的役務提供等契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、主務省令(規則§42)で定めるところにより、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。(法§42、Ⅰ)
・記載事項 ①役務提供事業者の名称等、住所、電話番号、代表者の氏名 ②役務の内容 ③関連商品を購入する必要がある場合には商品名 ④支払う金銭の概算額 ⑤金銭の支払時期、支払方法 ⑥役務提供期間 ⑦クーリングオフ ⑧中途解約権 ⑨信用購入あっせん等による場合の抗弁の接続 ⑩前払取引につき、前払金保全措置に関する事項 ⑪その他の特約 ・特定権利販売契約については ⑩に相当するものがない。

(2)契約書面の交付

事業者等は、特定継続的役務提供等契約を締結したときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、当該契約の内容を明らかにする書面を役務受領者等に対し、交付しなければならない。

権利義務の内容を明確にし、後日の紛争を防止するためである。

この書面の交付は、クーリングオフ期間の起算点としての意味もある。 ・主務省令で定める記載事項 特定継続的役務提供契約の場合には、 ①役務の内容(法§42、Ⅱ、No.1、規則§33、Ⅰ) ②関連商品名、数量(法§42、Ⅱ、No.1、規則§33、Ⅱ、No.4) ③支払う金銭の額(法§42、Ⅱ、No.2、規則§34、Ⅰ) ④金銭の支払時期、支払方法(法§42、Ⅱ、No.3) ⑤役務提供期間(法§42、Ⅱ、No.4) ⑥クーリングオフ(法§42、Ⅱ、No.5、規則§34、Ⅰ、Ⅱ) ⑦中途解約権(法§42、Ⅱ、No.6、規則§34、Ⅰ) ⑧役務提供事業者等の名称等(法§42、Ⅱ、No.7、規則§33、Ⅱ、No.1) ⑨契約担当者(法§42、Ⅱ、No.7、規則§33、Ⅱ、No.2) ⑩契約年月日(法§42、Ⅱ、No.7、規則§33、Ⅱ、No.3) ⑪信用購入あっせん等による場合の抗弁の接続(法§42、Ⅱ、No.7、規則§33、Ⅱ、No.5) ⑫前払取引につき前払金保全措置に関する事項(法§42、Ⅱ、No.7、規則§33、Ⅱ、No.6) ⑬関連商品の販売業者の名称等(法§42、Ⅱ、No.7、規則§33、Ⅱ、No.7) ⑭その他の特約の内容(法§42、Ⅱ、No.7、規則§33、Ⅱ、No.8) ・特定権利販売の場合には ⑫に相当するものがない。

(3)誇大広告の禁止

 特定継続的役務提供は、効果が不確実であるなどの特徴から、契約締結につき、広告が果たす役割が大きい。そこで役務の提供条件につき、広告する際、役務内容、効果その他の主務省令で定める事項につき、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良、有利であると人を誤認させるような表示をすることが禁じられている。(法§43、規則§37)

 その違反に対しては罰則(法§72、Ⅰ、No.3)があるほか、主務大臣による指示(法§46)及び業務停止(法§47)の事由となり、主務大臣は誇大広告に該当するか否か判断するため、必要がある時は、期間を定めて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求める事ができる。(法§43の2)

(4)財務書類の備付け等

 特定継続的役務提供に係る前払取引(政令§13、5万円)を行うときは、主務省令で定めるところにより、その業務・財産の状況を記載した書類を、事務所に備え置かなければならない。(法§45、Ⅰ、§72、Ⅰ、No.8)

三、クーリングオフ

(1)一般

 顧客は常にクーリングオフが認められる。(法§48、Ⅰ、§42、Ⅱ、No.5、規則§32、Ⅰ、No.1ト§34、Ⅰ)
これは役務内容を客観的に確定することが困難である等の契約の性質から、消費者が契約内容を充分理解せず契約することがある等の事情に基づくものである。
クーリングオフの要件効果は、訪問販売の場合と同様(法§48、Ⅲ~Ⅷ)

(2)関連商品のクーリングオフ

①特定継続的役務提供においては、役務提供に際し、役務受領者等の購入する必要のある商品(関連商品)がセットの形で販売される例が多い。そこで一定の要件の下に、関連商品の販売に係る契約についても、クーリングオフが認められる。(法§48、Ⅱ)

②その要件は (ⅰ)政令で定める商品であること。(別表5 動物及び植物の加工品で、人が摂取するもの。化粧品、下着等) (ⅱ)事業者等がその商品の販売又は代理、媒介を行っている場合であること。 (ⅲ)消耗品として政令で指定された関連商品を使用、消費していないこと。(化粧品、石けん、浴用剤) 個別信用購入あっせん関係受領契約がクーリングオフされると、その特定継続的役務提供契約がクーリングオフされたとみなされる。
(割賦法§35の3の10、Ⅴ)

四、中途解約権

(1)一般

①特定継続的役務提供契約については、クーリングオフ期間経過後、役務提供受領者は、事由のいかんを問わず将来に向かって特定継続的役務提供契約を解除できる。(法§49、Ⅰ)
特定継続的役務提供は、役務提供の効果を事前に予測しがたく、また役務提供期間中に役務受領者等に転居、病気などの事情変更が生じることも多いからである。

②役務提供事業者が役務受領者に対し請求できる違約金、損害賠償額等に制限が設けられている。(法§49、Ⅱ)

③特定権利販売契約についても、実質的に右と同じ規制が設けられている。(法§49、Ⅲ、Ⅳ)

④中途解約の意思表示の方法について制限はない。(法§48、Ⅲと対比)
法の規定に反する特約で、役務受領者等に不利なものは無効である。(法§49、Ⅶ)

(2)中途解約権行使の効果

①中途解約権が行使されると、特定継続的役務提供契約は将来に向かってその効力を失う。(法§49、Ⅰ)
契約に損害賠償額の予定または違約金の定めがあるときにおいても、法定の額(法§49、Ⅱ、Ⅳ)と、これに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の請求をすることはできない。

※1 役務の提供開始前に、契約が解除された場合には、

・契約の締結・履行のために通常要する費用の額として役務ごとに政令(政令§16)で定める額が、損害賠償等の限度額である。 (例)語学の教授 :1万5000円
  パソコン教室:1万5000円
  結婚紹介  :3万円

・役務の提供開始後に、契約が解除された場合には、 ①履行済みの役務の対価に相当する額及び ②契約の解除によって通常生ずる損害として、役務ごとに政令で定める額が、損害賠償額等の限度額である。 (例)語学の教授 :5万円又は契約残額の100分の20に相当する額のいずれか低い額
  パソコン教室:同上
  結婚紹介  :2万円又は契約残額の100分の20に相当する額のいずれか低い額
②役務提供事業者が、関連商品の販売または代理、媒介を行っておれば、中途解約権の行使に伴い、役務受領者は当該関連商品販売契約を解除することができる。(法§49、Ⅴ) ③その場合その販売事業者は、損害賠償額の予定または違約金の定めがあるときにおいても、法定の額とこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の請求をすることはできない。(法§49、Ⅵ) ※2 ・関連商品の引渡し前に、契約が解除された場合には、契約の締結及び履行のために、通常要する費用(通信費、書類作成費、印紙代等)が損害賠償額の限度額である(法§49、Ⅳ、No.3) ・関連商品引渡後に、契約が解除された場合には、 ①当該商品が返還された場合には、当該商品の使用料に相当する額 ②当該商品が返還されない場合には、当該商品の販売価格に相当する額が、損害賠償額等の限度額である(法§49、Ⅵ、No.1、2) ③特定権利販売契約につき、中途解約権が行使された場合の損害賠償額の予定等及び、関連商品販売契約の解除についても、類似する規制が設けられている(法§49、Ⅳ~Ⅵ)。特定継続的役務提供契約の場合との差異は、損害賠償の予定又は違約金の上限につき、政令で定める形がとられていない点である。

五、禁止行為

※3 禁止行為

 特定継続的役務提供についても、事業者等の勧誘等に際し、不実のことを告げもしくは故意に事実を告げない行為又は人を威迫して困惑させる行為を禁止する定めがあり(法§44、§70)、違反行為は主務大臣による指示、業務停止等の対象となり(法§46、47)、かつ誤認により契約の申込等をした者は、その意思表示の取消が認められる。(法§49の2、Ⅰ)
適格消費者団体の差し止め事由となる(法§58の8)
最判H19.4.3 民集61巻3号 P967

第九款 業務提供誘引販売取引

一、定義

業務提供誘引販売取引とは

(a)物品の販売またはサービスの提供(あっせんも含む)を行う事業者が

(b)業務提供利益(その販売する商品または提供されるサービスを利用する業務に従事することにより得られる利益)を得ることができるとして消費者を誘引し

(c)消費者に特定負担(その商品の購入やサービスの対価の支払い、あるいはいかなる名義をもってするかを問わず、金銭的負担をさせること)をさせる

(d)物品販売またはサービスの取引

二、例

ホームページ製作の内職を優先的に保障し、月15万円以上の収入があると広告をして、まず仕事をするために必要な特定の機種のパソコンとソフトを業者から購入し(合計50万円)、ホームページ製作方法を身につけるための講座(25万円)を受講する必要があると勧誘する取引。

三、主な規制

(1)氏名、特定負担(法§51の2)及び当該勧誘に係る商品又は役務の種類の明示。

(2)不当な勧誘行為等の禁止(法§52)

事業所等によらないで個人と契約を締結する場合には、不当な契約解除の妨害、威迫して困惑させて契約締結又は契約解除を妨害してはならない。

(3)事業者が広告に表示すべき事項(法§53)

(4)誇大広告の禁止(法§54)

(5)承諾をしていない者に対する電子メール広告の禁止。(法§54の3、§54の4)

(6)書面の交付義務(法§55)

(7)クーリングオフ(法§58)

(8)申込又は承諾の意思表示の取消(法§58の2)

(9)損害賠償等の額の制限(法§58の3)

第十款 訪問購入

一、定義

(1)訪問購入とは、物品の購入を業とする者は、営業所等以外の場所において、売買契約の申込みを受け、または売買契約を締結して行う物品の購入をいう。(法§58の4)

(2)除外

当該売買契約の相手方の利益を損なうおそれがないと認められる物品又は、この章の規定の適用を受けることとされた場合に、流通が著しく害されるおそれがあると認められる物品であって政令で定めるもの。(政令16条の2) ①自動車(二輪のものを除く) ②家庭用電気機械器具(携行が容易なものを除く) ③家具 ④書籍 ⑤レコードプレーヤー用レコード及び磁気的方法又は光学的方法により音、映像又はプログラムを記載した物。

二、主な規制内容

(1)訪問購入における氏名等の明示(法§58の5)

(2)勧誘の要請をしていない者に対する勧誘の禁止等(法§58の6)

(3)クーリングオフ(法§58の14)
営業所等以外の場所における申込、売買契約締結の場合

(4)物品の引渡の拒絶、引渡の拒絶に関する告知(法§58の15、§58の9)
クーリングオフの期間及び引渡期日まで引渡の拒絶ができる。

(5)第三者への物品の引渡についての通知等(法§58の11、§58の11の2)

(6)契約解除等に伴う損害賠償等の額の制限(法§58の16)

第十一款 連鎖販売

一、定義

連鎖販売業とは

(a)物品の販売または有償で行う役務の提供の事業であること。(販売及び提供のあっせんを含む)

(b)取引形態としては、物品の再販売、受託販売、販売のあっせん、同種役務の提供、提供のあっせん取引であること。

(c)特定利益(他人を紹介して加入させた場合に、紹介料あるいはバックマージン等が支払われること)が得られるということで勧誘すること。

(d)特定負担(組織に加入するために支払う加入料あるいは商品購入代金等)が条件となる。

二、主な規制内容

事業者に対する規制は、統括者、勧誘者、一般連鎖販売業者である。

(1)不当な勧誘行為等の禁止(法§34)

(2)クーリングオフ(法§40)

(3)消費者の中途解約権、中途解約時の損害賠償額の上限の定め(法§40の2)

第十二款 無限連鎖講の防止に関する法律

第十三款 特定商取引法の改正

特定商取引に関する法律の一部改正

「訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入」

H28.5.25成立

施行は、公布から1年6ヶ月以内の政令で定める日

改正事項の概要

1.事業者の役員等に対する業務禁止命令制度の創設

2.その他の改正事項

(1)規制対象範囲の拡大

(2)通信販売、ファクシミリ広告の提供の禁止

(3)電話勧誘販売に係る過量販売規制の導入

(4)訪問販売等における契約の申込みまたはその承諾の意思表示の取消制度の整備