社会保障と税等の個人番号法(20014年6月現在)

第1 個人番号法の概略

1.マイナンバー法制定の経緯

  ⑴ 正式名称

     行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

  ⑵ 平成25年5月24日法律成立

    平成25年5月31日公布施行3年以内(公布から)

  ⑶ 1970年佐藤栄作内閣時代

    行政管理庁によって事務処理用統一個人コードが検討された

    国民総背番号制の導入につながるとして、1973年政府での検討は中止される。

  ⑷ 1980年、グリーンカード制度を導入する所得税法改正

    少額貯蓄非課税制度を利用していた資金が郵便局、金融機関から外国債券等に流出、反対運動が高まる

    1983年延期、1985年グリーンカード制度は廃止

  ⑸ 1999年、住民票コードを利用した住民基本台帳ネットワークシステムを導入する住民基本台帳法改正

    個人情報保護の観点からの反対運動が強い

  ⑹ 民主党が「マニフェスト2009」で税と社会保障の共通番号制度導入を政策とする

    2012年2月14日、マイナンバー法案国会提出

    同年11月衆議院解散により廃案

  ⑺ 2013年3月1日、政権交代後

    自民党、公明党、民主党の三党協議により国会提出

    2013年5月24日法律成立

  ⑻ マイナンバーは、当面は社会保障、税、災害対策の分野に利用を限定する。施行3年後に利用範囲を再検討する

  ⑼ 公平になる(社会保障と税の負担と給付)のであれば番号を入れてもいいとマスコミの論調が変わる

    「消えた年金問題」などで社会保障制度のインフラ部分の欠陥が露呈、高齢社会への不安を加速させた

    限られた財源を公平かつ効率的に利用するための一つの突破口

    しかし個人情報の濫用の防止が重要

 ⑽ マイナンバー法関連4法

    マイナンバー法

    整備法

    内閣情報通信政策監に関する内閣法改正

    IT基本法改正

    地方公共団体情報システム機構法制定

 ⑾ 地方公共団体情報システム機構(地方共同法人)

   ① 地方自治情報センターの住民基本台帳ネットワークシステムに関する事務

   ② 自治体衛星通信機構の公的個人認証の事務引継ぐ

   ③ マイナンバー法による個人番号生成

  ⑿ 主務省令による規定

   ① 個人番号の利用範囲

   ② 情報連携の対象となる指定個人情報の詳細

2.番号法の目的

  ⑴ 番号法の趣旨

   ① 番号を利用することにより対象者の正確かつ迅速な特定が可能

   ② 情報突合の正確化、効率化、異なる分野と迅速な情報連携、行政手続きの簡素化、国民に対する積極的な情報提供等

   ③ 政策上の効果

    ア.正確な情報に基づくきめ細かな社会保障給付の実現

    イ.所得の過少申告の効率的な防止、是正

     (例) 支払元から提出された法定調書と支払先から提出された課税申告を、個人番号をキーとして
         突合させて、納税者の申告内容の正確性を効率的に確認できる。

    ウ.災害時や防災時の迅速な支援

    エ.行政サービス情報や自己の個人情報の開示の迅速化

     (例) 行政手続きに必要な所得証明書、住民票等の資料を国民の側で入手するのではなく、
         行政機関等で正確なやりとりが出来るようになり国民の負担の軽減が考えられる

  ⑵ 番号に対する保護の必要性

    個人番号を用いて、突合、集約された情報を管理、売買、漏えいの危険があるため、
    個人番号をその内容に含む個人情報(「特定個人情報」)について、各種保護措置を規定する。

3.番号の活用

  ⑴ 付番

   ⑴ 個人番号は行政事務の対象となる者に付される。

    ① 住民票に記載されているすべての国民

    ② 行政サービスの対象となりうる外国人住民

      (中長期在留者、特別永住者、一時庇護者、仮滞在許可者、経過滞在者)

  ⑵ 法人番号は法人等に付される

   ① 国の機関

   ② 地方公共団体

   ③ 設立登記をした法人

   ④ 前記以外の法人又は人格のない社団等であって、所得税法230条等の届出書を提出することとされている者

   ⑤ 前記以外の法人又は人格のない社団等であって、日本で経済活動等を営み、国税、地方税の法定調書を
     提出する義務がある者又は、法定調書の記載の対象となる者であって、これらの者からの届出を受けた場合

 ⑵ 利用

   ① 個人番号

    (ⅰ) 社会保障、税、災害対策分野における行政運営の効率化等のため

    (ⅱ) 個人番号が利用される範囲は

     (ア) 個人番号利用事務

     (イ) 個人番号関係事務

     (ウ) (ア)と(イ)を併せて個人番号利用事務等という

    (ⅲ) 個人番号利用事務は行政機関や地方公共団体が主体となって行う事務であり、以下のもの(ⅱア)(9条1,2項)

       年金の給付、保険料の徴収、失業等給付の支給、労災保険給付の支給、健康保険給付の支給、保険料の徴収、予防接種の実施、児童手当の支給、国税、地方税の賦課徴収の事務等が規定されている(9条1項)

    (ⅳ) 個人番号関係事務((ⅱ)、(イ))は、個人番号利用事務のための手続等を指し以下のもの

       年金の給付事務のために民間事業者が従業員の個人番号を日本年金機構へ届出る場合や、
      国税の賦課のための資料として税務署へ法定調書を提出する場合等を指す(9条3項)

    (ⅴ) 個人番号利用事務実施者は原則として行政内の利用に限られるが、準公的機関である、社会福祉協議会、
       健康保険組合等がある。純粋な民間事業者は企業年金の実施主体のみである (9条別紙第1、71番72番)

       個人番号関係事務においては民間事業者が個人番号を取り扱う。

   ② 法人番号

     法人番号は個人番号と異なり、個人のプライバシー権を侵害する恐れがない上、広く流通することで各種事務の効率化が図れる。

     その為、法人番号の付番を担当する国税庁長官は、法人番号と併せて、商号又は名称、本店又は主たる事業所の
     所在地の公表を義務付け(58条4項前段)法人番号には利用範囲の限定は無く社会保障、税、災害対策以外の
     分野においても自由に利用することができる。

 ⑶ 情報連携

   ① 個人番号

    (ⅰ) 異なる分野、異なる機関との情報連携の促進のため、番号法に基づき情報提供ネットワークシステムが新設される(21条1項)

       これを利用することにより例えば社会保障給付の申請を受けた担当当局は給付要件の充足を確認するため
      税務当局から所得額情報の提供を受けることができる

       国民にとっては所得証明書等の添付書類を用意する必要がなくなり、行政機関にとっては情報授受の迅速化、確実化が図れる

    (ⅱ) システムを通して不正連携がなされる危険もあるため、情報提供ネットワークシステムには各種保護措置を講じる。

    (ⅲ) 保護措置

     ア.情報提供ネットワークシステムを使用出来る場合を法定列挙する(21条2項1号)

     イ.情報照会、提供があった時は、情報提供ネットワークシステムに記録する(23条3項)

     ウ.本人は、行政機関個人情報保護法12条1項により、不正連携の有無を確認できる 

     エ.本人はマイポータルサイトを通じて不正連携の有無を確認できる(附別6条5項)

     オ.特定個人情報保護委員会は、情報連携記録を確定できるようにする(23条3項)

     カ.特定個人情報保護委員会は、不正連携が行われないよう情報提供ネットワークシステムの設置管理について、
       総務大臣と協議するとともに、安全性、信頼性を確保するよう総務大臣に措置要求を行うことができる(54条1項)

   ② 法人番号

     法人番号は、原則として広く一般公開され、社会保障、税、災害対策以外の分野においても自由に情報連携を行うことが出来る

4.番号の保護

  ⑴ 個人番号

   ① 総論

    (ⅰ) 特定個人情報は、現行個人情報保護法令上の個人情報に該当するため、行政機関には、行政機関個人情報保護法が、
       独立行政法人には独立行政法人等個人情報保護法が、民間事業者には個人情報保護法が、
       地方公共団体には各個人情報保護条例が、それぞれ適用されることになる

    (ⅱ) これら一般法の特例を番号法で定めることで、特定個人情報に対し、より一層の保護措置を講じるものである

       番号法はあくまで特別法であるため、一般法の読み替えの形式をとるものと、番号法独自の規制を行う場合や
      一般法の対象外の者に対し規制を行う場合は、新規の条文の形式による。

    (ⅲ) 番号法が定める特定個人情報の保護は

     ア.利用に係る措置

     イ.提供に係る措置

     ウ.管理に係る措置

     エ.本人からのアクセスのための措置

     オ.取扱い全般に係る措置

     カ.その外の措置

   ② 利用に係る措置

    ア.利用範囲の限定

      社会保障、税、災害対策分野のみで、個人番号を利用することとする。さらに、これら3分野の中でも
      個人番号を利用できる事務を法令又は条例で限定列挙する。

     (a) 9条1項

        別表第1に定める行政機関等が定められた事務について

     (b) 9条2項

        条例で定めるものの処理

     (c) 9条3項

        個人番号関係事務

    イ.目的外利用の原則禁止

      例外事由を行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法、個人情報保護法よりも厳格に限定している。

     (a) 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意があるか又は本人の同意を
        得ることが困難であるとき(29条1項~3項、32条)

     (b) 激甚災害時等であって、一定の要件を満たす場合(9条4項、29条2項、3項、32条)を除き、
        特定個人情報の目的外利用を禁止する。

    ウ.ファイル作成制限

      個人番号をその内容に含む個人情報ファイル(「特定個人情報ファイル」)を作成出来る場合は限定されている(28条)

     (α) 個人番号利用事務等の処理に必要な範囲

     (β) 委員会による調査等、番号法19条、11号から14号までに該当する場合に限定する。

   ③ 提供に係る措置

    ア.提供制限

      特定個人情報を提供できる場合を限定列挙し、それ以外の提供を禁止する(19条)

      1号~14号

      7号は別表第2

    イ.提供要求、収集、保管の制限

      提供制限と対応する形で、番号法19条各号に基づき提供を受けられる場合を除き、

       α 自己と同一の世帯に属する者以外に対する個人番号の提供要 求(15条)は禁止され 

       β かかる者以外の特定個人情報の収集、保管が禁止される(20条)

   ④ 管理に係る措置

    ア.安全管理措置

      個人番号利用事務を処理する者は、個人番号の漏えい、滅失、又は毀損の防止その他、
      安全、管理措置が義務付けられている(12条)。

    イ.委任

      個人番号利用事務等 の受託者は委託元と同様に安全管理措置等の義務を負い(2条、12項、13項、12条)、
      委任元も、委任先に対する監理義務を負う(11条)。
      更に委任者の承諾がなければ再委任を行えないものとする(10条1項)。この場合には委任を受けた者として規制される。

   ⑤ 本人からのアクセスのための措置

    ア.任意代理人による請求

      番号法では、請求が困難な者についても開示、訂正請求権等を行使できるよう、
      任意代理人による請求を認めている(29条、30条)

    イ.マイ・ポータルを通じた請求

      番号法では、マイ・ポータルを新設し、インターネット上で簡便 に開示請求等行えるようにする(附則6条5項、6項)

    ウ.民間事業者の情報連携記録

      情報提供ネットワークシステムを使用する民間事業者は、情報連携記録の開示義務等を規定している(30条4項)

   ⑥ 取扱い全般に係る措置

    ア.特定個人情報保護委員会

     ・特定個人情報の取り扱いについての監視、監督機関として委員会を新設する(36条12項、38条)

     ・委員会は行政機関からの独立性が高い、いわゆる三条委員会として設置される(国家行政組織法3条)

     ・委員会は指導、助言(50条)、勧告、命令(51条)報告徴収、立入検査(52条1項)を行うことが出来るほか、
      情報保護評価の承認を行う(27条2項)

     ・委員長及び、委員には次の者を含む

      (ⅰ) 個人情報の専門家(学識経験者)

      (ⅱ) 情報処理技術に関する専門家

      (ⅲ) 社会保障制度又は税制に関する専門家

      (ⅳ) 民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する者

      (ⅴ) 地方自治法263条の3第1項の連合組織の推薦する者

    イ.情報保護評価(27条)

     ・情報保護評価とは、プライバシー権等に与える悪影響を事前評価し、悪影響を緩和、軽減するために
      適切な措置を講じているかを評価する仕組みである

     ・情報保護評価書は、一般公開されるため、行政機関等がプライバシー権保護にどのように取り組んでいるか
      評価かつ具体的に説明される。

    ウ.罰則の強化

      個人情報保護法では、いわゆる「間接罰」が採用されているが、番号法では、直接罰規定が設けられた

     ・行政機関個人情報保護法等は直接罰規定となっているが、番号法は法定刑を引き上げ別の行為類型を設けている

   ⑦ その他の措置

    ア.なりすまし防止

     ・番号法では、なしすまし防止のために、個人番号のみによる本人確認を禁止する(16条)

     ・個人番号カードもしくは、通知カード及び、通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを
      証するものとして、主務省令で定める書類の呈示を受けることによって、本人から個人番号の提供を受ける

    イ.個人番号の変更

     ・個人番号は生涯不変の番号である

     ・しかし、個人番号が漏えいして、不正に用いられる恐れがあると認められるときは、個人番号を変更することができる(7条2項)

     ・個人番号の変更は本人からの請求と職権によっても行われる

 ⑵ 法人番号

  ・法人番号は原則公開される

  ・法人番号と併せて公表される情報は公知の事実であることから、特定法人情報(法人番号の指定を受けた者に関する
   情報であって法人番号により検索することができるもの)については以下の2点を除き、特段の保護措置を受けない

   (ⅰ) 人格のない社団等については、所有地の情報等が公知ではないことも考えられるので、
      公表される情報は予め代表者又は管理人の同意を得たものに限る(58条4項後段)

   (ⅱ) 特定法人情報の正確性確保に対する努力義務(61条)

第2 情報提供ネットワークシステム、マイ・ポータル等番号法関連のシステム

 1.システムの全体像

  ・番号制度(個人番号に限る)に関するシステムは以下の通り5つのシステムである

   ① 情報提供ネットワークシステム

   ② いわゆるマイ・ポータル

   ③ 特定個人情報保護委員会のシステム

   ④ 情報を保有する各関係機関のシステム

   ⑤ 地方公共団体情報システム機構のシステム

  ・システムの特徴は個人の情報は今まで同様、各関係機関(日本年金機構、国税庁、地方公共団体等)において、分散して管理される

  ・必要な範囲でのみ、相互に情報を融通し合う

 2.情報提供ネットワークシステム

  ① 情報提供ネットワークシ ステムとは「行政機関の長等・・・の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で
    接続した電子情報処理組織であって暗号その他その内容を容易に復元することが出来ない通信の方法を用いて行われる
    第19条7号の規定による特定個人情報の提供を管理するために・・・・・総務大臣が設置し・・・・・及び管理する もの

  ② 情報提供ネットワークシステムは、番号法で原則として禁止されている特定個人情報の提供を、
    このシステムを利用させることで解除する仕組みである

  ③ どのような情報を何の事務のために、どこから(情報提供者)、どこに(情報照会者)に提供する場合に、
    情報提供ネットワークシステムを利用してよいかは別表第2に網羅されている

  ④ 情報提供ネットワークシステムの構築に当たっては、その連携キーとしては個人番号は使わないこととしている。
    情報連携においては、個人番号と同様住民票コードを「種」としつつ全く別の「見えない番号」である
    符号を生成しこれを連携に用いることとしている

  ⑤ 図2「情報照会、提供の基本的な流れ」記載のように情報照会機関Aは「個人番号X」に対し、
    「符号A」が割り当てられ情報保有機関Bでは「個人番号X」に対し「符号B」が割り当てられる

  ⑥ 情報提供ネットワークシステムにおいて「情報提供を許可し符号同士を紐付ける仕組み」が設けられており、
    情報連携がなされるその瞬間だけは機関Aにおける「符号A」が機関Bにおける「符号B」と同一人であることが
    情報提供ネットワークシステムにより確認される

  ⑦ 実際の情報連携の流れは「図2」の通りである

   (ⅰ) 機関Aから機関Bが保有する「符号A」の情報が欲しいと情報提供ネットワークシステムへ照会する

   (ⅱ) 情報提供ネットワークシステムにおいては、その照会が適正であること(別表第2で認められること)を
      確認したうえで「符号A」を「符号B」に変換する

   (ⅲ) 情報提供ネットワークシステムは「符号B」を持つ機関Bに対して、機関Aから「符号B」についてこういう情報が
      求められている旨を送信する

   (ⅳ) 機関Bは「符号B」について求められた情報を抽出した上で

   (ⅴ) その情報を直接、機関Aに送信する

 3.いわゆるマイ・ポータル

  ① この法律施行後、1年を用途として、情報提供等記録開示システム(附則6条5項)

  ② 国民の利便性の向上を図る視点から、情報提供等記録開示システムを利用して次に揚げる手続
    又は行為を行う(附号6条6項)ことを検討

   (ⅰ) 法律又は条例に基づく個人情報の開示に関する手続(但し、5項に関するものは除く)-「自己情報表示機能」

   (ⅱ) 本人が希望し、又は本人の利益になる情報を提供する「プッシュ型サービス」

   (ⅲ) 「ワンストップサービス」

    ・一つの書類を記載すれば同じ内容のものを何度も記載することは不要

    ・提出先が複数あるような場合には、一度の処理でそれらに一斉に提出できる

   (ⅳ) 上記3つの機能については、その手続、行為の性格、種類に応じて本人確認の方法については、
      より簡便な方法を考えるべきであると規定している

 4.特定個人情報委員会のシステム

  ① 特定個人情報委員会は、特定個人情報の取り扱いに関し、指導、助言をし、違反行為をした者に対し、
    勧告命令をし、特定個人情の取り扱いに関し、報告徴収、立入検査をし、情報保護評価の承認を行う等の権限を有している

  ② 同委員会のシステムについては、これらの任務を果たすために必要なものを整備する必要がある

  ③ 情報提供ネットワークシステムからの証跡の収集分析等を行なえるような監視、検査業務を支援する
    機能等を整備することが想定されている

 5.情報を保有する各関係機関のシステム

  ① 情報提供ネットワークシステムにつながる機関としては、日本年金機構、国税庁など国の機関に加え、
    都道府県市町村など地方公共団体がある

  ② 大きくは、個人番号と既存の利用番号の紐付けを行うとともに、他機関からの照会に回答できるよう
    既存システムから回答用のデータを抽出したりそれらを格納したり、利用番号と符号とを紐付けたりする
    機能を有する中間サーバーを整備する

    情報提供ネットワークシステムと各機関をつなぐ接点としてインターフェイスを整備する対応も必要となる

    中間サーバーやインターフェイスシステムについては、国が中心となり又は、国において開発することになる

 6.地方公共団体情報システム機構のシステム

  ・今回の番号制度導入に伴い、地方公共団体は地方公共団体情報システム機構を設置することとされているが、
   この機構において住民票コードを基にして、個人番号及び、符号を生成することとされており、そのためのシステムを
   整備することが必要となっている

第3 番号法施行による地方公共団体への影響について

 1.総論

  ⑴ 市町村長等の役割

   (ⅰ) 市町村長は、住民に対して個人番号を付番し、通知カード及び個人番号カードを交付する

   (ⅱ) 地方公共団体は、社会保障、税、災害対策の分野において法律又は条令に規定された範囲で個人番号を利用し、
      法律等で定められた機関との間で特定個人番号の授受を行う

  ⑵ 事務実施日時

   (ⅰ) 平成27年10月頃、個人番号を指定して、これを通知カードにより通知

   (ⅱ) 平成28年1月からは、申請により通知カードと引換に個人番号カードを交付する(17条1項)

   (ⅲ) 平成28年1月からは、番号法別表1の事務に関し、個人番号法人番号を記載した申請書等を受理し事務処理を行う

   (ⅳ) 平成29年7月頃から番号法別表第2の特定個人情報に関し、国や他の地方公共団体の機関等と授受を行う

  ⑶ 地方公共団体の準備段階

   (ⅰ) 体制の整備、業務見直し

   (ⅱ) 個人番号利用の条例制定

   (ⅲ) 個人情報保護条例の改正

   (ⅳ) 既存システムの改修等

 2.番号法上の地方公共団体に関する規定

  ⑴ 地方公共団体の責務(5条)

   ・個人番号及び、法人番号の利用に関し、国との連携を図りながら、自主的かつ主体的に地域の特性に応じた施策を実施する

   ・国と連携して、独自事務にも個人番号を利用することができる

   ・番号法9条2項は、番号法規定の事務以外でも社会福祉、地方税又は防災に関する事務について、
    地方公共団体の条例に規定することにより、個人番号の利用を可能にした

  ⑵ 個人番号の指定及び通知

   ① 市町村長は、住民票に住民票コードを記載したときは、速やかに地方公共団体情報システム機構(以下、機構という)
     から通知された個人番号とすべき番号をその者の個人番号として指定し、通知カードにより通知しなければならない。(7条1項)

   ② 市町村長は、平成27年10月以降、出生届等があって住民票に住民票コードを記載するときに、
     個人番号の指定及び通知カードによる通知を行う。

   ③ 市町村長による個人番号の通知事務は地方自治法第2条第9項第1号に規定する法定受託事務である(63条)

   ④ 個人番号の付番対象者は住民票コードが住民票に記載される日本の国籍を有する者及び平成25年7月より
     住民票コードが住民票に記載され外国人住民(中長期滞在者、特別永住者、一時庇護許可者及び仮滞在許可者、
     経過滞在者)である(住民基本台帳法30条の45)

   ⑤ 市町村長は、個人番号を指定するときは、予め機構に対し、その者に係る住民票コードを通知するとともに、
     個人番号とすべき番号の生成を求めるものとしており、このための既存住基システムの改修が必要となる

   ⑥ 通知カードには、氏名、住所、生年月日、性別、個人番号等が記載され、顔写真は記載されない

  ⑶ 個人番号の変更

    市町村長は、個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときは、請求又は職権により個人番号の変更ができる

    個人番号は、通知カードにより通知する(7条2項)

  ⑷ 個人番号カードの交付

   ① 市町村長は住民の申請により、個人番号カードを交付する

     この場合、通知カードを返納させる(17条1項)

   ② 個人番号カードは、個人番号の提供が求められた際に本人確認及び、個人番号の真正性確認の手段となるものである。

   ③ 個人番号カードには、氏名、住所、生年月日、性別等が記載され、これらの情報は、
     個人番号カードに搭載されるICチップに記録される

     個人番号は、個人番号カードの裏面に記載される可能性があり、顔写真も券面に記載される

   ④ 個人番号カードの記録事項は上記事項に限られ、その外の個人情報そのものが記録されることは無い

   ⑤ 個人番号カードの作成については、全市町村による共同委託を想定し、民間事業者の活用も視野に入れている

   ⑥ 個人番号カードの交付に当たっては、顔写真確認等で1回のみを想定している

   ⑦ 個人番号カードは市町村は条例に、都道府県は政令により、個人番号カードのICチップに上記記録事項とは区分して、
     必要事項を記録して利用することができる(18条)

  ⑸ 個人番号の利用

    地方公共団体の長等は、社会保障、地方税、防災その他これに類する事務で条例で定めるものの処理に必要な限度で
    個人番号を利用することができる(9条2項)

  ⑹ 特定個人情報の授受

   ① 情報照会者は情報提供者に対しその事務処理のため必要な特定個人情報を情報提供ネットワークシステムを使用して
     提供を求めることが出来る(19条7号)

   ② (ⅰ) 法定された情報提供であることをシステムで確認し

     (ⅱ) 提供の求め及び、提供の事実の記録を取得し

     (ⅲ) 秘密の漏えい防止、安全な情報の授受を行う情報提供ネットワークシステムを使用する

   ③ 情報提供者は、情報提供ネットワークシステム介して、特定個人情報の提供を求められる場合には、
     当該特定個人情報を提供する義務を負う(22条1項)

   ④ 地方公共団体の個人番号の条例利用(9条2項)で他機関を特定個人情報の授受を行う方法は
     特定個人情報保護委員会規則で規定する(19条14号)

   ⑤ 同一地方公共団体内の 同一機関内で、特定個人情報を授受すること(例:A町福祉課が地方税関係情報を照会し、
     A町税務課が提供)は、地方公共団体の特定個人情報の内部利用と位置付けられるが、同一地方公共団体内の
     異なる機関間における特定個人情報を授受すること(例:B市教育委員会が地方税関係情報を照会し、
     B市税務課が提供)は、番号法上外部提供と位置づけられ、条例に規定することで可能となる(19条9号)

     いずれの場合も、同一地方公共団体内の情報の照会、提供であれば、情報提供ネットワークシステムを介さないことになる

  ⑺ 特定個人情報保護評価

   ① 地方公共団体の長等は、特定個人情報ファイル(2条9項)を保有しようとするときは、特定個人情報保護評価を
     実施することが義務付けられる(27条)

   ② 特定個人情報保護評価とは、特定個人情報ファイルの保有、変更にあたり、プライバシーや特定個人情報への影響を
     事前に評価し、その保護措置を講じる仕組みをいい、米、加、豪、英等のプライバシー影響評価(PIA)に相当する

  ⑻ 個人情報保護条例との関係

   ① 番号法は、個人情報保護法の一般法に対する特別法として、より厳格な保護措置を講じているが、各地方公共団体が
     定めている個人情報保護条例との関係が論点となる

   ② 番号法10条、19条等のように、番号法において新規に条文を書き起こしている場合は、番号法が
     各地方公共団体にも直接適用されるため、地方公共団体は条例の改正等を行う必要はない

   ③ 番号法29条及び30条で一般法の読み替え規定を設けている部分はその趣旨に沿って、個人情報保護条例の
     改正等を行う必要がある(31条)

   ④ 個人情報保護条例の改正については、以下の事項について検討する必要がある

    (ⅰ) 番号法が特定個人情報の目的外利用及び提供を厳しく限定していることとの整合性

    (ⅱ) 本人及び、任意代理人による特定個人情報の開示、訂正、利用停止請求、情報提供等の記録(23条)の
       開示、訂正請求を認めること

    (ⅲ) 情報提供等の記録の利用停止を行わないこと

    (ⅳ) 特定個人情報保護評価に係る諮問を行うため

       個人情報保護審議会の所掌事務の追加

  ⑼ マイ・ポータル

   ① 法文上は「情報提供等記録開示システム」という(附則6条5項)

   ② 平成29年1月頃を目途として設置する(国の機関間の連携開始)

   ③ 地方公共団体の機関が平成29年7月特定個人情報の授受を行う

   ④ マイ・ポータルの活用は次のものを検討している

    (a) 自己情報表示

      行政機関、地方公共団体の機関等が保有する自己の特定個人情報自体について確認する機能(6条6項1号)

    (b) プッシュ型サービス

      一人一人に合った行政機関、地方公共団体の機関等からのお知らせを表示する機能(附則6条6項2号)

    (c ) ワンストップサービス

行政機関、地方公共団体の機関等への手続を一度で済ませる機能(附則6条6項3号)

  ⑽ 自治体クラウド導入への国の協力

   ① 既存住基システム及び既存業務システムの改修が必要

   ② いわゆる自治体クラウド等(複数の地方公共団体の情報システムの共同化又は集約)の導入について、
     政府は情報提供、助言その他の協力を行う(附則6条8項)

第4 番号法施行までのスケジュール

 1,概要

  ① 番号法施行(平成25年5月31日公布)は原則として公布から3年以内(附則1条本文)

  ② 例外があり、個別事項については、公布の日から施行されるもの、公布の日から4年を超えない範囲内のものまである

  ③ 政府は「社会保障、税番号制度の導入に向けたロードマップ(案)」及び「番号制度導入に係る地方公共団体の
    スケジュール(想定例)」を公表した

 2,個人番号の通知、利用

  ① 個人番号の通知時期は、平成27年10月と想定されている。法人番号の通知の時期も同様

  ② 市町村長は、地方公共団体情報システム機構に対して、個人番号とすべき番号の生成を求め、同機構から通知された
    番号を個人番号として指定する

  ③ 個人番号の利用開始は3ヶ月後の平成28年1月である

  ④ 平成28年1月からは、個人は社会保障給付の申請の場面で、個人番号を記載し、雇用主は税務当局に提出する
    給与支払報告書に従業員から聞きとった個人番号を記載し、当局は個人番号を使って個人情報の名寄せを行う

 3,個人番号カードの交付、利用開始

  ① 個人番号カードの交付、利用開始は、個人番号の利用と同じ平成28年1月の開始が想定されている

  ② 個人番号カードは、本人の申請により市町村長が交付する(17条1項)ため、市町村においては、
    この時期に個人番号カードの交付を行うことができるように準備を進める

  ③ 平成28年1月に個人番号カードの交付が開始された直後にすべての者に個人番号カードを保持することに
    なることはないため、当初は通知カードその他の資料により本人確認を行う場面も少なくない(16条)

 4,情報提供ネットワークシステムの稼働

  ① 平成29年1月に国の機関間の連携が開始される

  ② 平成29年7月から地方公共団体との連携も開始されることが想定される

  ③ これに対応した国の機関、地方公共団体において、システム改修、業務の見直し等の準備が必要

 5.特定個人情報を保護するための制度

  ① 平成27年10月、個人番号の通知に伴い、以下の規定が施行される

    15条 (提供の求めの制限)

    19条 (特定個人情報の制限)

    20条 (収集等の制限)

    28条 (特定個人情報ファイル作成の制限)

    67条 (罰則)

    68条 (〃)

    70条 (〃)

    71条 (〃)

  ② これに先立ち、平成26年前半の想定で特定個人情報保護委員会が設立される

    特定個人情報の取扱いに関する監視監督をする

  ③ 平成28年1月個人番号利用開始の前に、特定個人情報保護評価を実施する必要がある(27条)

    行政機関の長、地方公共団体の機関、独立行政法人等が特定個人情報ファイルを保有する場合に必要

  ④ 平成29年1月、情報提供ネットワークシステムの稼働と同時に

    マイ・ポータルが設置され稼働をする

 6.政省令、委員会規則

  ① 政省令、特定個人情報保護委員会規則も整備される

  ② 手続等の詳細を政省令や委員会規則で定める

    7条 通知カードの様式その他通知カードに必要な事項は総務省令

    9条1項別表1 主務省令定める

   17条 個人番号カードの交付等

   19条7号別表第2

   27条 特定個人情報保護評価

 7.政府による検討

   附則6条

第5 個人情報保護法制とマイナンバー法

 1.個人情報保護に関する一般法制とマイナンバー法の関係

  ① マイナンバー法は、個人 情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法を所与として、
    個人番号が不正なデータマッチングに用いられる危険に鑑み、個人番号を含む個人情報である特定個人情報について、
    個人情報保護法の規定の適用を除外したり読替えをしたりする特例を定め(29条)

  ② 個人情報保護三法に規定のない規制が必要な場合には独自の規定を設け(再委託の承認制、特定個人情報の提供の求め、
    収集、保管の制限、特定個人情報ファイルの作成制限)。

  ③ 個人情報保護三法の対象外の者についての義務を定め、情報提供等の記録について、個人情報保護法三法の特例を定める

 2.個人情報保護三法の規定の読み替え等

  ⑴ 行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の規定の読み替え等

   ① 行政機関個人情報保護法8条1項―以下、甲法という

     独立行政法人等個人情報保護法9条1項の規定の読み替えー以下、乙法という

    (ア) 甲法、乙法は個人情報の目的外利用、提供を原則として禁止したうえで、例外的に認めている。
        即ち、甲法8条1項、2法9条1項は、「法令に基づく場合」には、目的外利用、提供禁止原則の例外を認めている。

    (イ) しかし、マイナンバー法9条では、個人番号の利用範囲が法定され、19条では、法定した場合以外は、
        特定個人情報の提供は制限されている。

    (ウ) 但し、マイナンバー法9条4項は「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」2条1項に
        基づく金融機関の利用のため乙法9条1項においては「法令に基づく場合をマイナンバー法9条4項の規定に
        基づく場合に読み替えている

  ⑵ 甲法8条2項1号

    乙法9条2項1号の読み替え

   ① 甲法8条2項1号、乙法9条2項1号は「本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき」に目的外利用、提供を認めている

   ② しかし、特定個人情報 は、本人の有利利益に関わるのみならず、行政サービスの効率化の手段という社会的側面も
     併有するため、本人の同意があっても原則として、目的外利用、提供は認めないこととし「人の生命、身体又は財産の
     保護のために必要がある場合であって、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるとき」に限定して、
     目的外利用、提供を認める(29条1項)

   ③ (例)緊急に医療を受ける必要がある場合に、過去の治療状況がわかる記録を利用する

  ⑶ 甲法8条2項2号から4号

    乙法9条2項2号から4号の適用除外(29条1項本文)

   ① マイナンバー法は、甲法8条2項2号、乙法9条2項2号即ち「必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、
     当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき」を除外している

   ② 同じく甲法8条2項3号、乙法9条2項3号即ち「保有個人情報を提供する場合において、提供を受ける者が
     法令の定める事務又は、業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ当該個人情報を利用することに
     ついて相当な理由のあるとき」は適用がない

   ③ 甲法8条2項4号、乙法9条2項4号即ち「専ら統計の作成、又は学術研究の目的のために保有個人情報を
     提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その外保有個人情報を提供することに
     ついて特別の理由のあるとき」は適用されない

  ⑷ 甲法10条1項、3項の規定の読み替え

   ① 甲法10条1項は、同法の運用の統一性、法適合性を 確保するために、個人情報ファイルを保有するときに
     事前に総務大臣に通知することについて行政機関の長に義務付けているか、これを特定個人情報保護委員会に読替えている

   ② 甲法10条3項も総務大臣を特定個人情報保護委員会に読替えている

  ⑸ 甲法12条2項、13条2項、14条1号、27条2項、28条2項、36条2項、37条2項、

    乙法12条2項、13条2項、14条1号、27条2項、28条2項、36条2項、37条2項の規定の読み替え

   ① 個人情報保護法は、自己情報の開示、訂正、利用停止の求めについて委任代理を認めているが、甲法2条2項、
     27条2項、36条2項、乙法12条2項、27条2項、36条2項は開示、訂正、利用停止の請求について
     法定代理を認めるのみである

     理由は、任意代理を装った不正な請求を抑止するためである

   ② しかし、マイナンバー法では、任意代理を認める

     理由、特定個人情報は大量に授受され、情報連携が不正に行われる事への国民の懸念も大きい

     その為、マイナンバー法では、マイポータルを開設して自己情報の開示請求等を容易に行えるよう配慮しているが、
     デジタル、デバイドの問題があるため、任意代理を認める

     又、社会保障や税の分野においては、社会保険労務士、税理士に申請、届出を委任することが多いため、
     一連の手続を一括して委任することが可能となるよう任意代理を認める

  ⑹ 甲法25条

    乙法25条の規定の適用除外

   ① 甲法25条、乙法25条は、他の法令で保有個人情報の開示が認められ、かつ開示方法が甲法、乙法と
     同一である場合は、開示を並行して認める、実益がないため甲法、乙法による開示は認められない。

   ② しかし、マイナンバー法では、マイポータルによる開示により、即時に開示がなされるためマイナンバー法では重複しても認める

  ⑺ 甲法26条2項

    乙法26条2項の読み替え

   ① 甲法26条2項は、開示請求手数料の額については、できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならないと規定している。

   ② 行政機関情報公開法16条3項は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、手数料減免の規定を設けている

   ③ マイナンバー法29条1項は甲法の読み替えをして又、法29条2項は乙法の読み替えとして、経済的困難
     その他特別な理由があると認めるときは手数料の減免の規定を設ける旨読み替える

  ⑻ 甲法36条1項1号

    乙法36条1項1号の読み替え

   ① 甲法36条1項1号、乙法36条1項1号は利用停止または消去の対象を以下に限定している

    (ⅰ) 適法に取得されたものでないとき

    (ⅱ) 利用目的を超えた保有の禁止規定に違反して、保有されている

    (ⅲ) 目的外利用の禁止規定に違反して利用されているとき

   ② マイナンバー法では、①(ⅰ)(ⅱ)については、甲法、乙法と同じである

   ③ しかし、①(ⅲ)については読み替えが行われている

     甲法8条1項2項の規定に違反して目的外の利用又は提供されマイナンバー法20条の規定に違反して収集され、
     若しくは保管されているとき、又は、マイナンバー法28条の規定に違反して作成された特定個人情報ファイルに
     記録されているときは、利用の停止又は消去される

     すべての義務違反とされず、限定されているのは、義務違反に対する制裁では無く、将来に向けて法令遵守を確保し
     本人の救済をはかるためである

  ⑼ 甲法36条1項2号

    乙法36条1項2号の規定の読み替え

    甲法36条1項2号、乙法36条1項2号についてはマイナンバー法19条の規定に違反した場合は提供を停止となる

 3.個人情報保護法の規定の読み替え(丙法という)

  ⑴ 丙法23条の規定(第三者提供の制限)は全て適用を除外している

    丙マイナンバー法19条を適用する

  ⑵ 丙法27条2項の規定の読み替え

    甲法27条2項(利用停止)の同法23条1項(本人の同意のない第三者提供)については、マイナンバー法19条に読み替えている

  ⑶ 丙法16条1項、2項の規定の読み替え

   ① 丙法16条1項については、目的外利用を認めない丙法15条と読み替える

   ② 丙法16条2項については、本人の同意を削除して「承継前」と読み替える

  ⑷ 丙法16条3項1号の規定の読み替え

    丙法16条3項1号(利用目的による制限の例外である「法令に基づく場合」)は、「マイナンバー法第9条4項の
    規定に基づく場合」と読み替える

  ⑸ 丙法16条3項2号(人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが
    困難であるとき)に利用目的制限の例外を認めている

    「本人」を「本人の同意があり又は本人」と読み替える

  ⑹ 丙法16条3項3号の規定の適用除外

    「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって・・・・・・」は適用除外である

  ⑺ 丙法16条3項4号の規定の適用除外

    「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して
    協力する必要がある場合であって・・・・・・・」は適用除外される