民法(債権法)改正(2015年6月25日現在)

第1 意思表示

1.法律行為と意思表示

法律行為自由の原則

法律行為は一定の効果の発生を企画してなされる意思行為を要素として成立する。

法律行為とは意思表示を要素とする法律要件を言う

意思表示の要素

効果意思(内心の意思) 効果を欲する意思(ある物を1,000円で買おうとする意思)

表示意思 効果意思を外部に発表しよとする意思

表示行為 効果意思が推断されるような行為(1,000円で売ってくれという言葉を発する)

内心の意思と表示行為の不一致が意思表示の問題である。

2.心裡留保

(1)意思表示は表意者がその真意でないことを知ってした時でも、そのためにその効力を妨げられない。
但し、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は無効とする。

(2)現行法は「相手方は表意者の真意を知り」と規定しているが改正法は
「相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り」と規定したため現行法により無効の範囲が広くなる。判例法理上明確でなかった。

(3)改正法は「前項但書の規定による意思表示の無効は善意の第三者に対抗することができない」と規定して善意の第三者を保護する規定を設け判例理論を規定したものである。

3.錯誤

(1)現行法は「法律行為の要素」に錯誤があった時は無効としている。
例えば、AがBをCだと思い違いをして絵画の執筆依頼の申込みをした場合には、要素の錯誤があるため、申込みの意思表示は無効である。

(2)しかし「法律行為の要素」という規定が必ずしも明確でないこと、いわゆる動機の錯誤が無効となるのか条文上読みとることが出来ないこと、錯誤無効とすることは行き過ぎであるとして、表示内容の錯誤と動機の錯誤を書き分けて要件を明確にして錯誤の効力を取消事由に改めた。

(3)表示内容の錯誤については、特別の要件を必要としないが動機の錯誤については動機が相手方に表示されていることを要件として判例理論を明文化している。(例)骨董品の偽物を真物と錯誤したので高値で買う。

(4)現行民法上、表意者に重過失があれば一切の錯誤を主張出来ないかのようにも解することが出来る規定であるが、改正法は相手方が悪意、重過失の場合及び、相手方も同一の錯誤に陥っている場合には、錯誤の主張ができる旨規定した。

(5)改正法は第三者保護の規定を設け、善意無過失の第三者には対抗できないと規定した。

第2 消滅時効

1. 債権の消滅時効

(1)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは時効によって債権は消滅する(主観的起算点)

(2)権利を行使することができる時から10年間行使しないときは債権は時効によって消滅する(客観的起算点)

(3)契約に基づく履行請求権の消滅時効は実質5年間と短縮される。債務不履行に基づく損害賠償請求権についても、本来の履行請求権と法的同一性を有するとみなすことができるため、本来の債務の履行を請求し得る時から進行する、という判例理論を明文化した。

(4)債権、又は所有権以外の財産権は権利を行使することができる時から20年間行使しないと時効によって消滅する。

2.定期金債権

(1)定期金債権は支分権を発生させつつ長期間継続する点で一般の債権とは異なるため20年間としている。

(2)各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しない時は消滅する。

(3)各債権を行使することができる時から20年間行使しないときは消滅する。

3.職業別の短期消滅時効等の廃止

4.不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

(1)損害及び加害者を知った時から3年間

(2)不法行為の時から20年間行使しないと時効によって消滅する

(3)人の生命、身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は5年間と規定された。

(4)人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効については「権利を行使することができるときから20年間」とする(§167)

第3 法定利率 (緩やかな自動変動型固定利率性)

1. 変動制による法定利率

(1)現行法は年5% 商法法定利率は年6%

(2)法定利率と市場金利の大きな乖離を是正するため 法定利率を年3%

(3)変動制とするが基準割合算定のための参照期間を貸出約定平均金利の60ヶ月の平均を計算することとした。

(4)法定利率を見直す頻度は3年に一度とする。

(5)法定利率の適用の基準時は利息が生じた最初の時点とし事後による金利が変動しても変更しない。

2. 金銭消債務の損害賠償の算定に関する特則

(1)現行法は金銭債務の不履行による損害賠償の額を法定利率と定めている。但し約定利率が法定利率を超えるときは約定利率による。

(2)改正法は、いつの時期の法定利率を適用するかを明確にするため「債務者が遅滞の責任を負った時の法定利率による」と規定した。

3. 中間利息控除

(1)中間利息控除とは、損害賠償請求権の損害額の算定において、将来発生する逸失利益や費用を現時点で確定するため、現在価値に換算するため、損害賠償額算定の基準時から逸失利益等を得られる時までの利息相当額(中間利息)を控除することをいう。

(2)現行法には規定がない。裁判実務においては法定利率を用いるのが一般的である。

(3)ライプニッソ係数(複利)とホフマン係数(単利)があるが、現在はライプニッソ係数に統一されている。

(4)改正法は中間利息控除について法定利息を用いることを規定し、損害賠償請求権が生じた時点の法定利率と定めた。

第4 契約の解除

1. 催告解除の要件

(1)伝統的通説は損害賠償と解除はともに債務不履行の効果であると解し帰責事由の存在は、損害賠償と解除に共通する要件と認識されていた。

(2)これに対し、近時の有力な学説は、これまで解除の効果されてきた①契約の拘束力からの解放②原状回復③損害賠償のうち①②が解除固有の効果であると解している。新しい学説は解除制度につき、債務者に対する「制裁」としてではなく、契約の拘束力から解放する制度であるという理解を前提としているため、債務者の帰責事由は解除そのものの要件ではなく解除に伴う損害賠償を請求するための要件としている。

(3)そこで改正法は解除にかんする新しい考え方を前提としつつ、その但書において解除の要件として重要なのは、債務不履行の程度であることを明らかにする一方で、債務者の帰責事由を要件としないことにした。

(4)改正法但書は、催告解除の前提となる不履行の程度や態様に限定を加える一連の判例法理を明文化したものである。

2. 無催告解除の要件(①)

(1)改正法542条は無催告解除についての判例立場を明文化した。

(2)改正法が無催告解除を認める場合 ① 債務の履行が不可能であるとき。現行法543条前段と同趣旨 ② 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、現行民法に規定がないものを改正法は明文で認める。 ③ 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において残存する部分のみでは契約をした目的を達することが出来ないとき。 ④ 定期行為における無催告解除を認めた現行民法542条を維持する規定。 ⑤ 以上の他、債務者が債務を履行せず、債権者がその履行の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

3. 無催告解除の要件(②)

(1)契約の一部の解除を出来る場合について規律の適用関係を明確にするため整理した(改正法542条2項)

(2)次の場合には債権者は催告をすることなく契約の一部の解除をすることができる。 ① 債務の一部の履行が不能であるとき ② 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

4. 債権者に帰責事由がある場合の解除

(1)現行法には、債権者と債務者の双方に帰責事由がある場合に、債権者が契約を解除できるかどうかは明らかでない。

(2)改正法は、債務不履行が債権者の帰責事由によるものであるときは債権者は催告解除も無催告解除もできないことを明らかにした。

5. 契約解除の効果(§545)

(1)現行法は545条2項は解除の効果につき金銭の受領の時から利息を付するとのみ定めているため、金銭以外の物の受領時以後に生じた果実についても同様に解されるものの、返還しなくてよいとの誤解が生じかねない。

(2)そこで改正法は、545条3項に「金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない」と規定した。

6. 解除権者の故意等による解除権の消滅(§548)

(1)現行法548条の規律を維持したまま適用の範囲を明確にした。
即ち「解除権を有する者が故意若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することが出来なくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類に変えたときは、解除権は消滅する。
但し、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない」

第5 保証債務

1. 根保証

いわゆる「商工ファンド」事件による改正
貸金等根保証契約とは、個人が貸金等債務を根保証するという。
法人による保証は対象外である。貸金等債務は金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務。

(ア)要式性一書面。

(イ)極度額の定め。

(ウ)元本確定期日 (a)元本確定期日の定めのある場合、5年を超える場合無効。 (b)元本確定日の定めがない場合、3年を経過する日。

(エ)元本確定日の変更、変更後5年を経過する場合の変更は効力を生じない。

(オ)元本確定事由

(1)極度額(§465のⅡ) ① 平成16年改正により貸金等根保証契約に限定して新設された民法465条のⅡ(極度額の設定、同条のⅣ(元本確定事由)及び同条Ⅴ(求償権の個人保証)を貸金等根保証契約以外の個人根保証契約全般に拡大する。 ② 民法465条のⅢ(元本確定期日)に関しては適用範囲を個人根保証契約全般に拡大せず、現行法と同じく貸金等根保証契約に限定した。個人的根保証契約全般に拡大すると建物賃貸借契約は存続するが根保証契約によって担保される債務が元本確定期日までに生じたものに限定されるためである。

(2)元本の確定事由(§465のⅣ) ① 元本確定事由について現行法の貸金等根保証契約から個人根保証契約全般に拡大した。 ② しかし個人根保証契約については確定事由を保証人に対する強制執行、担保権の実行、保証人の破産手続開始、主たる債務者又は、保証人の死亡とするが、個人貸金等根保証契約については、主債務者に対する強制執行、担保権実行、破断手続開始と改正した。

(3)求償権についての保証契約(§465のⅤ) ① 現行法は465条のⅤにおいて保証人が法人である根保証契約について規定しているが、現行法は債務の範囲について貸金等債務に関して規定している。 ② 改正法は「保証人が法人である根保証契約」全般に拡大している。

2. 保証人保護の方策の拡充

(1)個人保証の制限 

① 改正法は民法465条のⅥから465条のⅩに「事業に係る債務についての保証契約の特則」に関する規定を設けて、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約については、経営者等に該当する者が保証人となる場合を除き、保証人となろうとする者による保証債務を履行する意思が公正証書によって表示されている場合に限り有効とし、またこの場合に要求される公正証書の方式について規定している。

(2)契約締結時の情報提供義務

① 現行法には主たる債務者が保証人に関する説明義務、情報提供義務の存否及び内容に関する特別な規定は設けられていない。

② 改正法は465条Ⅹにおいて主たる債務者が委託を受けて保証契約を締結した保証人を保護すべく、主たる債務者に保証契約締結に際しての保証人に対する説明義務の存在及びその内容を明記することともに、主たる債務者が前記義務を怠った場合又は虚偽の説明を行った場合に、保証人による保証契約の取消の余地を定めた。

(3)保証人の請求による主たる債務の履行状況に関する情報提供義務(債権者の義務)は§458のⅡにある。

(4)主たる債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務(債権者の義務)は§458のⅢにある。

第6 契約上の地位の移転

1. 現行法には規定がない。

2. 改正法は
「契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方が当該譲渡を承諾したときは契約上の地位は、当該第三者に移転する」旨規定する。

第7 契約にかんする基本原則

(1)現行法には、契約自由の原則に関する規定がない。

(2)改正法は、民法512条1項において「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる」と規定する。

(3)改正法は民法512条2項において「契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる」と規定する。

(4)改正要綱には「履行の不能か契約成立時に生じていた場合」に関する規定を新設することが記載されていたが、改正法には条文が規定されていない。

第8 定型約款

1. 定型約款(改正法において新設された規定)

(1)定型取引

「ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることからその双方にとって合理的なものをいう」と改正法は定義している。

(2)定型約款

「定型取引において、契約の内容とすることを目的として、その特定の者により準備された総体をいう」と改正法は定義している。

(3)改正法は548条のⅡにおいて、定型取引を行うことの合意(以下「定型取引合意という)をした者は次に掲げる場合には、定款約款の個別の条項についても合意したものとみなす。

① 定型約款を契約の内容とする旨の合意としたとき。

② 定型約款を準備した者(以下定型約款準備者という)があらかじめその定型約款を契約の内容となる旨を相手方に表示しているとき。

2. 定型約款によって契約の内容が補充されるための要件

(1)改正法は定型約款によっても契約が成立したとしても個別条項のうち以下の要件に該当する場合には、民法第1条2項に規定する「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行われなければならない」に反して、合意しなかったものとみなす。

(2)「相手方の権利を制限し又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして、信義誠実の基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。

3. 定型約款の内容の開示義務

(1)改正法548条のⅢは定型約款準備者に定型約款の内容開示義務を課し、これを拒んだときには定型約款による契約は成立しない旨規定した。

(2)定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求のあった場合には遅滞なく相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。
但し、既に定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供しているときはこの限りでない旨規定している。

(3)定型約款準備者が定型取引合意の前に約款内容の開示を拒んだときは、契約は成立していないものとなる。
但し、一時的通信障害の発生、その他正当な事由があるときはこの限りでない。

4. 定型約款の変更

(1)改正法548条のⅢは、一旦定型約款の内容を定めても一定の事由に該当する場合には個別に相手方と合意することなく契約の内容を変更できる旨規定する。

(2)次の事由に該当する場合には変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなす。

① 定型約款の変更が相手方の一般的利益に適合するとき。

② 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ変更の必要性、変更後の内容の相当性、民法548条のⅣの規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及び、その内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

(3)定型約款の変更をするときの周知義務について以下の通り規定する

① 効力発生時期を定める。

② 約款を変更する旨、変更後の約款の内容、その効力発生時期をインターネットその他適当な方法により周知する。

③ 548条のⅣ、1項2号の規定による約款変更は効力発生時期が到達するまで周知をしなければ効力を生じない。

④ 但し、変更により信義誠実の原則により無効となる条項は変更できない。

第9 売買

1. 手付(民法557条関係)

1. 現行法の手付については判例法理を改正法とした。

2. 相手方が履行に着手するまでは、履行に着手した当事者による手付解除が可能とした。

3. 売買の手付解除の要件として現行法は「倍額を償還」と規定するが改正法は「提供」と規定して現実の払渡をしなくても「現実に提供して」解除できると規定した。

2. 売主の追完義務

(1)現行法には規定のない売主の追完義務を改正法は規定する。

(2)改正法は引渡された目的物が契約の趣旨に適合しないものであるときは、目的物が種類物か特定物かを問わず、目的物の修補、不足物の引渡又は、代替物の引渡による履行の追完請求権を認めた。

(3)但し、買主に帰責事由がある場合には履行の追完請求は出来ない。

(4)目的物に契約不適合の内容によっては複数の追完手段による対応が考え得る場合には、売主の提供する追完の方法が契約の趣旨に適合し且つ買主に不相当な負担を課すものでないときに限り、履行の追完は売主が提供した方法によると規定した。

3. 買主の代金減額請求権

(1)改正法は、売買の目的が契約に適合しないものである場合に代金減額請求権を規定する。

(2)代金減額請求権を行使するためには原則として催告を要する。

(3)しかし履行の不能等の場合には催告することなく減額請求ができる。

(4)又、不適合が買主に帰責事由があるときには代金減額請求ができない。

4. 損害賠償の請求及び契約の解除

(1)現行法565条及び570条はそれぞれ民法565条や566条を準用し、売主の救済手段として損害賠償や解除が認めることを規定しているが、この損害賠償請求等と債務不履行一般におけるそれとの関係について学説が多岐に分かれ、判例の立場も必ずしも一貫した理解が容易でないと指摘されてきた。

(2)改正法は売主の引渡義務に違反して契約の趣旨に適合しない目的物を交付することが売主の債務不履行となり、債務不履行の一般原則が準用されることを明示した。

5. 権利移転義務の不履行に関する売主の責任等

(1)現行法561条から567条は削除された。

(2)改正法565条は「売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しない場合(権利の一部が他人に属する場合にその権利の一部を移転しないときも含む)について、追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、解除権についての規定を準用した。

6. 買主の権利の期間制限

(1)改正法は引渡された目的物が契約の内容に適合しない場合においては、買主は不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知する義務があり期間内に通知をしない場合には履行の追完の請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除ができない。
但し売主が不適合について悪意又は、重過失があるときはこの限りでない。

(2)権利が契約の内容に不適合の場合には期間制限はない。

7. 競売における買受人の権利の特則(民568条1項関係)

(1)改正法568条1項は民事執行法、その他の法律に基づく競売における買受人は民法541条、542条、563条の規定による契約解除、代金減額請求が出来る。

(2)現行法568条2項、3項は残る

(3)改正法568条4項は、今回の改正で新設される履行の追完の請求に関する規律は強制競売には適用がない。

8. 権利を失うおそれがある場合の買主の代金支払拒絶

(1)改正法は576条において買主が権利を取得することが出来ず又は、喪失するおそれがある場合に、危険の程度に応じて代金の全部又は一部の支払拒絶を規定する。

9. 目的物の減失又は損傷に関する危険の移転

(1)改正法567条は、特定物売買等における危険負担につき規定した。

10. 買戻し

(1)改正法は、買戻特約がなされた場合に売主が返還しなければならない金銭の範囲を「買主が支払った金額及び契約の費用」とする規定を維持しつつも任意規定であることを明らかにした。

(2)売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、第三者に対抗できる。